第339話 スザクの能力

 スザクはマロン姫の蹴りを両腕で受け止めた。骨は折れていないようだけどダメージを負っているように見える。

 メイド長でも勝てない相手だ......スザクが普通に戦って勝てるとおもえないけどどうするつもりなんだろう?

「やめるつもりはない......か。なら仕方がない......を始めようか。オレが父親としてできることを!」

 スザクは決意したような目をしてメロン姫に銃口を向ける。

 どうやらスザクには策があるらしい......いやそれよりも気になるのはってどういう?

 スザクの銃が光ると僕の脳に一瞬映像が浮かび上がった。マロン姫の足から血が流れている映像だ。

「何だこれは......私が足を怪我?」

 マロン姫はそう言うと自分の足を見る。しかし、メイド長はマロン姫を傷つけることすらできなかったのだから怪我などしているはずもない。

 このマロン姫の様子......どうやらマロン姫にも同じ映像が見えたようだ。

「逆因果律って言葉を知っているか?」

 スザクは引き金を引いて発砲する。

「はっ! そんな攻撃当たるわけないだろ!」

 弾が発射されるのとほぼ同時に超反射でマロン姫は回避した。

「ダメだ。スザクの攻撃が当たるわけもない。あんな化け物を倒すのはやはり無理なのか?」

 ビャッコは僕たちを両脇から降ろしながら吐き捨てた。

「いや、すでには確定している」

 スザクは銃を降ろした。

「ぐっ......バカな。確かに避けたはず......」

 マロン姫は足から血が流しながら膝まずいた。

「あ、あり得ない!! 姫様が......姫様が怪我をするなんて!!」

 ボロボロ布のやつがなぜか僕たちの隣で騒いで......あれ? 頭のフード見たいに使っていた部分が破れて顔があらわになっている。さっきのスザクとマロン姫の激突の際に破れたのだろう。

「......ってお前男じゃないの!? 声渋すぎだろ!!」

 僕は女の子らしい可愛い顔を見てすかさず突っ込みを入れた。

「男だぁ? ふざけるな! オレにはマチルダって可愛い名前があるんだよ!」

 ここにきてボロボロ布のやつの本名が発覚......やっとこれで説明の時楽になるね!

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