第336話 覚醒能力『乙女ゲー主人公』
「お前ら......もう終わりだな! スザクの手でこの場の全員殺されてな!」
ボロボロ布のやつは勝ち誇った顔で僕をイラっとさせる。
「......っていうかお前もその全員に入るんじゃない?」
僕はアホを見る目で......おっとアホじゃなくてバカだったね。
「離せ! オレはまだ死にたくないんだ! お前らの道連れなんてごめんだぞ!」
ボロボロ布のやつはじたばたするがタマにしっかりとつかまれて逃げ出せないようだ。
こいつタマみたいな華奢な女の子にすら勝てないくせによくもまあこんな戦場の真ん中みたいなとこに現れたね......と、そんなことを考えている場合じゃないな。
僕は手を前に差し出した。
それじゃあお待ちかねの僕の能力の出番だ。薄々能力について気づいていると思うけど簡単に説明しよう。僕の能力......乙女ゲー主人公は性別が男性であればどんな相手にも命令できる。さらに良いおまけが1つと悪いおまけが1つある。それを説明するために実際に使ってみよう。
「覚醒能力『乙女ゲー主人公』!」
僕がそう言った瞬間にスザクの動きが止まった。トメのこみかみに銃口を突き付けてあと数秒遅かったら死んでいたかもしれない......ってあれ? 敵なのに助けた感じになってしまった。
「バカめ! どんな能力を使おうとも心が壊れたスザクは永遠に暴走し続ける! コトリの能力みたいに一時的に止めようともお前らの寿命がほんのちょっとの延びるだけだ! 諦めてオレを解放してください!」
ボロボロ布のやつは上から目線なのか下から目線なのかよく分らない頼み方をしてきた......っていうかこいつ仲間の能力あっさりばらしているんだけど......
「スザク! 心が壊れる前の状態に戻れ!」
僕は手を前に差し出したまま命令する。
「オレは一体何を......それにここは......?」
スザクはあたりをキョロキョロ見渡す。
「バ、バカな!? あり得ない......なんで正気に戻っているんだよ!?」
ボロボロ布のやつは目を丸くして驚いていた。
僕の能力の良い方のおまけ......それは男して本来絶対できないこともやらせることができるのだ。分かりやすく例を挙げよう......例えば僕が男に100メートルを3秒で走れと言えば、どんな鈍足な男でも3秒で走らせることができる、そういう能力なのだ。で、悪い方のおまけだけど......
「ぶひぃいい! オレをこの鞭でぶっ叩いてください!」
スザクが鞭を僕の前に差し出した。
そう......能力の発動中は僕に対してドMになるんだよ......この能力作ったやつ絶対に乙女ゲーをやったことないだろ!! 僕もやったことないけどさ!
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