第334話 総力戦
「姫様? 大丈夫ですか?」
不意にメイド長に声をかけられた。おそらく今のタマたちを消されたと聞いて僕のことを心配してくれたのだろう。
「あ、うん。大丈夫」
でもタマたちはもう......
「勝手に人を殺すんじゃないにゃ!!」
声が聞こえた方を見ると裏門からタマが入ってきたのだ。
「姫様! ご無事ですか!!」
そしてアスカも入ってきて、続いてビャッコもその後ろからついてきた。
「バカ! 私たちが罪もない人を殺すわけないだろ!」
棒付きキャンディ少女はぼろぼろ布のやつの頭にげんこつを一撃加えた。
......ま、まあ僕だってあんなバカがタマたちを消せるなんて思ってないし! ぜ、全然心配なんかしてなかったんだからね......って何か言い方がツンデレみたいになってしまった......
「殿下、ご無事ですアルか?」
そして背後からいきなり
「フン......数をそろえればオレたちに勝てると思っているのか?」
ボロボロ布のやつが偉そうに挑発してきた。
「姫様、あいつムカつくんで私がモップで成敗していいですか?」
アスカは手に持ったモップでボロボロ布を指した。
......っていうか戦う流れなの? メイド長より強い人があっちにいるんだけど?
「や、やめろ! オレはいわば参謀! オレ自身は戦わない......が、さっきいい手駒を手に入れたからこいつでお前らを消してやろう! さあ、能力を解除しろ! コトリ!」
棒付きキャンディー少女の方を向いてボロボロ布のやつは指示を出した。
棒付きキャンディー少女はコトリというのか......って今はそれどころじゃない!
「オイ! 誰に命令してんだ? 殺すぞ!」
「すいません! あの......能力を解除していただけないでしょうか?」
コトリに胸倉を掴まれて怯えるボロボロ布のやつ......自称参謀さんはどうやらあのチームの中では立場が弱そうだ。
「チッ! 次命令したらマジ殺すからな!」
コトリはボロボロ布のやつを乱暴に突き飛ばすとスザクの方に近づき何かを呟いた。
「姫様!」
メイド長は僕を抱えてすぐさま飛び退く。そう......またもやスザクが僕たちを襲ってきたのだ。見た限り他のメンバーも避けて......
「ちょっと! また失敗したわね! ここ見て! 擦りむいたじゃない!」
アスカがまたもやナナリーに文句を言い始めたところでナナリーの鞭が走る。
「豚のくせに私に説教するなんて失礼じゃないかしら? まずは地べたを這いずってお礼を言うものじゃなくて?」
なんでこのタイミングでドS発揮するんだよ! 時と場合を考えろよ!
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