第322話 怒られたりしないかな?
部屋の前まで来たところで僕は扉のノブに手をかけた。
もしかして......こんなに早く戻ってきたらカレンさんに怒られるんじゃないかな? 心構えをしておきたいし中に居るか確認しておこう。
僕は扉をゆっくりとほんの少しだけ開いた。
「おかえりなさいませ。姫様」
待ちかまえていたかのように扉の隙間からメイド長が顔を覗かせていた。
「いや、何で僕が扉を開ける前から待機しているの?」
「メイドたるもの主人が来る前から待機をするものです」
僕は後ろの方に居るクロワのことを見る。
......この世界のメイドはクロワみたいなのが珍しくてメイド長みたいなのが普通だったんだ。いやいや......メイド長を基準にしたらダメだろ。メイド長はこの世界基準でもハイスペックメイドなんだから。
「あの? どうかしましたか?」
クロワは心配そうに僕に尋ねた。
「ああ、大したことじゃないよ。優秀なメイドもいれば
「
クロワは若干涙目で僕に反論した。
「あ、そうだ。メイド長、カレンさんも中に居るのかな?」
僕は扉を半開きにしたまま聞いたみた。
「え? 私の質問はスルーですか!?」
「いえ、どうやら先ほどメイドから何かを聞いて部屋を出て行きました。数日は戻らないとおっしゃっておりましたので今日はもう戻られないものと思われます」
クロワの言葉を無視してメイド長は僕の質問に答えた。
「なるほど......じゃあこれで今日のお見合いは終わりでいいか!」
「いえ、お見合いは続けてください」
カレンさんが居なくてもメイド長がいる限りお見合いは続けなければならないようだ。
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