第321話 サブキャラの宿命
とりあえず話がかみ合っていないのでそのメイドを落ち着かせた。
「あぁ......良かったです。ということは私の国とは戦争はしないのですね」
メイドは安堵の表情を浮かべて落ち着いたようだ。
......というか「戦争だ!」などとは一言も言っていないんだけどね。
「はっ!? 失礼しました。私の名前をアイネ姫にお伝えしていませんでしたね。私はコロネ様のもとにメイド留学をしているクロワと申します。好きな食べ物はクロワッサンです」
「いや......チョココロネじゃないのかよ!!」
さっきチョココロネ好きって言っていたのにいきなりのクロワッサン好き宣言をしたクロワにすかさず突っ込みを入れてしまった。
「あ、いえ......もちろんチョココロネも好きなんですよ。でも、私はクロワなのであだ名がクロワさん......つまりクロワッサンが最も好きというキャラ設定の作者の単純なネーミングセンスで名付けられたんですよ!」
あれ? なんかクロワの愚痴みたいになっているんだけど? 作者を擁護するわけじゃないけど、サブキャラなんだしそれくらいの分かりやすいネーミングはいいと思うよ?
「そ、そうなんだ......で、さっき話しかけてきたのは何か用事だったんじゃない?」
僕はこの話題から話を逸らしたくて別の話題を振ってみた。
「あ、そうでした。実は私、カレン様に追い出されて必死に走ってたらここがどこか分らなくなりまして......」
クロワはこの世界では珍しいドジっ子メイドのようだね。僕としてはたまにはこういうキャラが出てきた方が安心するよ。
「では......そろそろいい時間ですし部屋に戻りますか? コロネさんも部屋に戻っているかもしれませんし」
ザックス王子は他国のメイドにも優しいね。お見合いの邪魔をされて怒るどころか部屋まで案内してくれるなんて......カレンさんとは性格がが全然違うね。本当に姉弟なのかな?
そんなことを考えながら僕とザックス王子とクロワは先ほどいた部屋に戻るのだった。
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