第320話 途切れた手掛かり

 なんだって!? じゃあカレンさんは嘘をついていたってこと? いや、それ以外にも気になること言っていたぞ!

「あのさ、気になったんだけどそのお寿司を教えてくれたお姫様はどこにいるの?」

「もう、この世界のどこにもいらっしゃいません。10年前にその国......ヨク王国は滅び、その方もその時に亡くなっております。姉上の親友とも呼べるほど仲の良かった方なので本当に残念です」

 僕の質問に対して、ザックス王子は自分の無力さを嘆いているのか悔しそうに目線を下に向けた。

 お寿司のことはこれ以上分りそうにないか......せっかく手掛かりが掴めるかと思ったのに。後はカレンさんのお寿司を知らないと言った不自然な態度を調べるくらいしかないけどどうしようかな?

「そう言えば......あの方の妹君はたまたまヨク王国を離れており、確かどこかで生きていると聞いた覚えがあります」

「え!? 何だって!? じゃ、じゃあその人はどこに居るの!?」

 僕はザックス王子に詰め寄るように聞き返した。

「申し訳ありません。どこに居るかまでは私も知りません」

 どこに居るか分らないんじゃ意味ないじゃないか! 全く......使えないザックス王子だね!

「あのぅ......お話し中のところすみません」

「なんだよ! 今取り込み中だよ! それに背後から気配もなく現れるなんて失礼じゃないか!!」

 いきなり後ろから声をかけられて僕は八つ当たり気味に答えた。

「ひっ!? も、申し訳ありません! 私のことは打ち首にしてもいいのでどうか......どうか! 私の国と戦争するのだけはやめてください!!」

 メイド服の女性がすぐさま土下座して謝っていた。

「この声聞き覚えが......? あ、もしかしてコロネのところに留学しているメイドじゃない?」

 僕は笑顔でそのメイドに尋ねた。

「はい! チョココロネは大好物です! チョココロネなら5個でも6個でも食べきってみせますのでどうか許してください!」

 いや......そんな話ししてないんだけど? ......っていうかコロネがこの発言聞いたら怒りそうだね。

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