第317話 消えなさい!

 コロネが加わったことでお見合いと言うより、友達同士で集まって談話を楽しんでいる感じになった。昼食の食器は片付けてられ、お菓子やジュースがテーブルの上に並べられている。僕は生前は学生だったからなんだか同年代の男女で集まってこんな感じで話すのは懐かしい気がする。

「ただいま......って何この状況?」

 カレンさんが扉を開けて部屋に入った後、腰に手を当てて眉間をピクピクさせながらこちらを見ていた。

「おかえりなさい、カレン姉様。今、コロネとザックス王子と話しててたんですよ。あ、そうだ! 聞いてくださいよアイネったら......」

 コロネは笑いながら答えているが、それに対してカレンさんは表情を変えることなく言葉を返す。

「......っ違うわよ! 今日はお見合いなのよ! 何でコロネがここに居るのよ!?」

 カレンさんは机をバンと両手で叩いた。

 机の上に置いてあったお菓子を入れた器やジュースをグラスなどはメイド長、ナナリー、クララ、凜風リンファがまるで打ち合わせをしたかのようにタイミングよく持ち上げた。

 ナイスコンビネーション! と称賛してあげたいところだけどそんな雰囲気ではないのでとりあえず黙っておこう。

「え? 何でって......“友達の”アイネが居たら来るに決まってるじゃないですか?」

 今回のコロネはザックス王子とのお見合いを邪魔しに来たつもりはないみたいなのでどうやら素でカレンさんの質問の意味が分っていないようだ。

「何とぼけたふりしてごまかしているの? どうせまたお見合いの邪魔しに来たんでしょ? せっかく組んであげた縁談も台無しにして相変わらず私をイライラさせるわね(怒)」

 カレンさんがプルプルと震えだした。おそらく僕とザックス王子のお見合いをめちゃくちゃにしないために必死に怒りを堪えているのだろう。

 どうやら今回は相当のお怒りみたいだ......だって『(怒)』とか普通セリフに入るものじゃないよ?

「はぁ......はぁ......お待たせしました! コロネ様......はぁ......やっと追いつきました」

 お! もしかしてメイド留学でコロネのところに行ったメイドかな? 一体どんな人なんだろう?

 僕は声のする方を見るとカレンさんが間に入って見えない......

「うるさいわね! 呼んでないわよ! さっさと消えなさい!」

 カレンさんはその扉の所に居る人物に一喝すると「し、失礼しました!」と声だけ聞こえてどこかに走り去って行ったようだ。

 もしかして新キャラ登場の最短記録更新......いやいや、そうじゃなくてコロネのとこに留学してきたメイドの登場シーンってこれだけ!?

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