第316話 期待していることに限って起こらないよね
昼食を済ませたがカレンさんはまだ戻ってきていない。
もうしばらくこのお見合い(茶番)を続けなければならないと思うと憂鬱だね......え? 振り仮名が漢字はおかしいって? 僕がそう読みたいからそうしただけだよ。
そんなことを考えていると扉が勢いよく開かれた。
お、やっとカレンさんが来たか......
「アイネが来てるって本当!?」
コロネだった......ってコロネかよ!? カレンさんかと思ったのに......仕方がない適当にあしらって......いや待て! 確か前回コロネは可哀そうだったから優しくするつもりだったんだ。
「ひ、久し振りだね......コロネ。元気だった?」
笑えないときに笑うのって難しいね。
「ええ、元気よ! 何て言ったって私は元気だけが取り柄みたいなものなのだからね!」
その言い方は馬鹿にするときに使うフレーズじゃないだろうか?
「コロネ様、お見合いの部屋に勝手に入らないでください」
クララがコロネの首元を掴んで持ち上げた。
......え? クララって誰かって? 覚えていない人のために紹介しよう。クララはコロネのメイドで......とにかくすごいメイドって思ってもらえればいいかな。
「こら! クララ! 離しなさいよ! 主人の命令が聞けないって言うの!?」
「ダメです。離せばまた逃げ回るのでしょう?」
バタバタと手足を動かしてコロネは暴れるているのに対して、クララはその細い腕で軽々とコロネを持ち上げている。この人もやっぱりこの世界のメイド基準で考えてもかなりレベルの高いメイドのようだ。
「いいんだ。クララ構わないよ。コロネさんも友達のことが気になっているのでしょう」
相変わらずザックス王子は優しいね。きっとそんな優しいザックス王子ならすぐにいい人見つかるよ......
「はい。かしこまりました」
クララはコロネの首元から手を離した。
「ちょっと! なんでザックス王子の言うことは素直に聞いているのよ! 私がクララの主人なのに!」
相変わらず甲高い声でキャンキャン騒ぐコロネ......あれ?
「そう言えば気になったんだけどコロネもメイド留学制度に参加しているのにメイドがクララのままなんだけど?」
僕はつい気になってコロネに聞いてみた。
「ああ、さっきまで一緒に居たんだけど遅いから置いてきたわ」
え、えぇ!? 自分のメイドを置き去りにしちゃダメじゃないか......あれ? 僕もアスカを置き去りにしたから人のこと言えないけど!
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