第314話 1人足りない……
リーゼントたちを厄介払いしたところでお団子メイドの誘導で僕、メイド長、ナナリーがお見合い会場に向かう。
「今日はメイドが3人来るとお聞きしていたアル。2人しか居ないようアルけど?」
お団子メイドが思い出したように僕たちに尋ねた。
「はい。その予定でしたが1人はセイリュウとゲンブが負傷したようですので応急処置要員として途中に残してきました」
「さすがメイド長! そこまで考えていらっしゃったのですね!」
メイド長の言葉にナナリーは目を輝かせていた。
......僕の目にはアスカが居ても居なくてもいいからそこに置いて行ったようにも見えたんだけど。アスカのあの反応からして応急処置をするような指示はされていなかったんじゃ......
「そういうことだったアルか。食事が1人分余りそうアルね」
お団子メイドは再び前を向いて歩きだした。しばらく進んだ先で部屋の中に案内される。
「こちらにお入りくださいアル」
お団子メイドは部屋のドアを開けたので僕が真っ先に部屋の中に入った。
「アイネ姫、お久しぶりです。どうぞ座ってください」
椅子に座っていたザックス王子が立ち上がって、目の前にある椅子を指し示した。
「ありがとう」
僕は椅子に座ると部屋の中を見渡す。今日のお見合いの目的......つまりカレンさんを探しているのだ。
「あの......ザックス王子、カレンさんは?」
「姉上は今は外出中ですが......何か姉上に用事が?」
え? 居ないの? だったら僕は今日何しに来たの?
「仕方がない......出直すとしようか」
椅子から立ち上がり部屋の外へ向かい歩いて......メイド長にぶつかった。
「出直すも何も本日はザックス王子とのお見合いですよ?」
メイド長は僕を持ち上げて先ほどの椅子に座らせた。
「申し訳ありません。姉上にもお会いしたかったのですね。ですがもうしばらくしたら戻ってくると思いますのでそれまで食事でもしませんか?」
カレンさんにしか会いたくはないけどとりあえず話を合わせておこう。
「うん。そうしようか」
今回のお見合いで何か手掛かりを掴んでやるぞ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます