第308話 貧乏人じゃない!
「スザク、これは何の冗談だ? いや......冗談でやっていいレベルではないぞ」
セイリュウはスザクに剣を向ける。
「次の敵はお前か......」
スザクはそう呟くとこちらに銃を向けた。
スザクが僕たちに敵意を向けている? おそらくあのボロボロ布のやつが何かやったのだろう。
「はっ......そういえばボロボロ布のやつは?」
僕は来た道を振り返る。しかし、その場にはもう誰も居なかった。
「やっぱりあいつ逃げたのか......」
「安心するにゃ。こいつは捕まえたのにゃ」
現実世界のタマがボロボロ布のやつの首元を掴んでいた。
え? 何こいつ......現実世界の方だと雑魚キャラなの?
「おい! 待て! 敵はあっちだろ! オレ何かに構ってないであいつと戦った方がいいんじゃないか?」
ボロボロ布のやつはスザクのほうをビシっと指差した。
「貧乏人! 何を騒いでいるんだ? うるさいぞ......おっと、これはなかなかの貧乳をお持ちで」
ビャッコが残念な人を見るような目でボロボロ布のやつを見た後、近くに居たタマのことを凝視する。
「おい! 貧乏人ってオレのことか!? これはミステリアスキャラを演じての服装で......って聞いてねーし!!」
ボロボロ布のやつがもはやミステリアス要素が持っていないかのように......いや、こいつ初めからミステリアス要素なかったんじゃない? むしろ今の服装から考えても貧乏人はある意味ではピッタリな名前だと思うよ。ボロボロ布っていちいち説明するより貧乏人の方が言いやすいし!
「ビャッコ、ナンパするなら後にしろ。スザクを相手にするのにこっちも手を抜いて戦うわけにもいかないだろう?」
セイリュウは視線はスザクに向けたまま警戒を続けていた。
「所詮乳のサイズでしか女を見れない愚か共たちよ。やはり女性の魅力は生きてきたその人生の長さで......」
「おい! それオレのことも言っているのか!? オレのことも言っているんじゃないだろうな!?」
ゲンブは腕を組んで頷いていたのに対して、セイリュウはさっきまでの警戒はどこへやらと言った感じで剣を下ろしゲンブの肩を掴んだ。
......っていうか早く戦えよ......
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます