第307話 走馬灯を見てたんだ
「姫様、失礼します」
メイド長が僕を脇に抱えて馬車から飛び出した。一瞬何が起きたか分らなかったけど、僕が馬車から飛び出たのと同時に馬車がバラバラに破壊されたのだ。
「ギリギリセーフ......ってところですね」
横を見るとナナリーもアスカの腕を掴んで立っていた。どうやらとっさの判断でナナリーたちも脱出に成功したようだ。
「セーフじゃない!! ほらここ! 腕すりむいちゃったじゃない! 一瞬走馬灯が見えたと思ったら馬車が壊れてびっくりしちゃったじゃない!」
アスカは自分の腕をナナリーに見せつけていた。
......というかアスカはボロボロ布のやつの能力を走馬灯と勘違いしているようだ。アスカだから勘違いしてもおかしく......
「え? 本当! すごい奇遇! 私もさっき走馬灯見たの!」
ナナリーも走馬灯だと思って......ってアスカだけじゃなくこっちのメイドも何とも都合がいい解釈してくれてるね! その分後で説明をしなくていいから助かるけどさ!!
「いいから謝ってよ! 腕のこと!!」
アスカは腕をもっとよく見えるようにナナリーの目の前で見せつけた。それと同時にアスカの足下に鞭が走る。
「この鈍足豚が! 助けてやっただけでも感謝しなさい!」
ドSモード発動。ナナリーは鞭を目の前で引っ張りながらアスカをゴミを見るような目で見た。
......っておなじみの寸劇を見ている場合じゃない!!。
破壊された馬車から銃を両手に持ってスザクが現れる。この馬車を破壊した張本人の......ね。
「無事か?」
セイリュウが馬に乗りながらスザクと僕らの間に割り入る。
「すまない。どうやらオレは一瞬走馬灯を見ていて出遅れた」
少し遅れてビャッコもこちらに近づいてきた。
「何? 貴様もか。実はオレも走馬灯を見ていたのだ」
ゲンブが驚いた表情をして合流した。
「いや待て、走馬灯ならオレも見たぞ」
セイリュウも走馬灯談議に......って後にして! 今それどころじゃないでしょ!! あとさ......どうでもいいけど何でこいつらも走馬灯で納得しているんだよ! って突っ込みたいけど我慢しよう。
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