第297話 ......って何かいる!!
先ほどの男が向かった先の病院には人が溢れかえっていた。この風景からも推測できるけど相当数の人が被害にあったのだろう。
「これだけ人が多いとあのボロボロ布のやつが紛れてても......って何かいる!!」
僕はすかさずボロボロ布のやつを指差した。
ちゃっかりボロボロ布のやつまで病院の前の人ごみに混ざっていたのだ。
「先手必勝にゃ!」
タマは一気に距離を詰めてボロボロ布のやつの背後に回り込んだ。そしてナイフを首元にあてて小声で囁いた。
「動くんじゃないにゃ......この能力を解除するのにゃ!」
ナイフをあてられたままボロボロ布のやつは口元を緩めた。
「ほぅ......まさかオレの能力に抵抗できるようなやつがいるとはな。だが......そのナイフを使ってオレを殺そうとするのは無駄だ。やめておけ」
「ならば試してみようかにゃ」
ボロボロ布のやつの挑発に乗るようにタマはナイフを押しあてる。
「ちょ、ちょっと待て!! まじで殺そうとするやつがあるか!! 殺人罪とかで逮捕されちゃうよ?」
ボロボロ布のやつはミステリアスな雰囲気を出すつもりはもうないらしい......っていうか殺人罪って。こいつはこんな状況で本気で言っているんだろうか?
「ならこの能力を解除するにゃ」
「わ、分った......すぐに解除する! だから助けてくれ!」
タマに脅されてボロボロ布のやつはあっさり解除するようだ......なんと意外とあっけない幕切れだね......
「なわけないだろばーか! お前の母ちゃんでーべそ!!」
子供の悪口のような言葉を残してボロボロ布のやつは消えてしまった。
「しまったにゃ! 油断したのにゃ......」
タマは舌打ちをして悔しそうな表情を浮かべた。
「タマ、とりあえずこの世界にボロボロ布のやつはいることは分ったんだし、気を取り直してまた探せばいいじゃないか! 今度はまた別の人の記憶の世界に行ったんじゃないかな? 僕たちも別の人の記憶の世界に行こうよ!」
「ダメにゃ......さっきのやつはしばらく使えないのにゃ......とりあえずこの記憶の主に着いて行って使えるようになるまで待つにゃ」
タマは首を横に振って答えた。
仕方がない......なら読者の人もきっと気になっていることだし、この少女の死体を抱えた男の行く末でも見ることにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます