第295話 誰の記憶だろうか
「それでここからどうやって脱出するの?」
僕は頼みの綱のタマに尋ねてみた。
「これは私の感にゃけど私と似た能力だと考えて、能力者本人も誰かの記憶の世界に入りこんでいる可能性が高いにゃ。とりあえずそいつを見つけるのがいいと思うにゃ」
なるほど......さすがタマ! 自分と似た能力だけあって攻略法も見つけやすいってことじゃないか!
「よし! そうと決まれば早速探しに行くにゃ!」
「だから口調を真似するんじゃないにゃ! 語尾の『にゃ』は私だけが使っていいんだにゃ! 読者も混乱してしまうから二度とやるんじゃないにゃ!!」
またタマに怒られてしまった。冗談のつもりだったのにマジの怒られ方だ......
「この世界を調べた感じいなさそうだから別の世界に行ってみるにゃ」
タマが手を前に差し出すと扉が現れ、その扉を開くと中へ進む。
「何してるにゃ! 早く行くにゃ!」
「あ、ごめん!」
僕はすぐにタマに続いて中へ進んだ。
扉の向こうに広がっている世界はまさに焼け野原という言葉がぴったりだと思えるような場所だった。
「これは......誰の記憶だろう?」
僕は思わずそう呟いた。
「あれを見るにゃ!」
タマは向こうの方を指差したので僕はそちらの方に目を向けた。
「こ、これは!?」
僕は落ちている紙きれのようなものを拾い上げる。
「......読めない」
英語っぽく見えるような気もするけど変な文字も交じっているその紙を裏返したりして何度も見返す。
「それはスペイン語だにゃ」
え? なんでタマは知っているの? 日本人......いや日本猫みたいな名前のくせに!
「そうじゃにゃくて何で記憶の世界にゃのにスペイン語の新聞の切れ端があるか考えて欲しいのにゃ」
「なんでってそりゃ......あ!」
まさか......この記憶の人は異世界から来た人ってことか!!
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