第294話 自然とやりたくなるものだから

 気がつくと僕はベッドの上にいた。

「気がついたかにゃ?」

「うん。もう大丈......え? どうしてここにタマが? はっ! まさか......」

 ベッドの横に本を読みながら座っているタマを見て僕は驚いた。

「やれやれだにゃ。そう、私は......」

 タマは呆れたような顔をしながら本を閉じた。そしてタマが最後まで言い切る前に僕が叫ぶ。

「タマが黒幕だったのか!!」

「違うにゃ!! せっかく助けてやろうと思ったのに失礼にゃことを言うんじゃないにゃ!!」

 タマは怒りをあらわにして僕に反論した。

「え? 違うの?」

「だから違うと言ってるにゃ! そんなに疑うなら突っ込みでも入れればいいにゃ!」

 タマがそう言うならそうさせてもら......

「いやいや......突っ込みはやれって言われてもなかなかできないものじゃないんだよ......何かこう自然と突っ込みたくなってやるものだし」

「別にやりたくないならやらなくていいにゃ! ......ってなんで私に突っ込みをさせているんだにゃ!!」

 タマは顔を真っ赤にして怒っていた。

 この様子ならおそらく嘘はついていないんじゃないかな。仕方ない......突っ込みはせずに信じてやることにしよう。

「ところでここは?」

「私も詳しくは分らないにゃ。分っていることだけ説明するとだにゃ......ここはあのボロボロ布のやつが作ったおそらく記憶を元に再現された世界だにゃ。あとは......これはたぶん精神的な攻撃だにゃ。私の能力でどうやら干渉できるようにゃから体は寝ていると思うんだにゃ」

 タマは気づいたことをつらつらと話し始めた。

 ......ってボロボロ布のやつを見たってことはタマもあの時近くに居たのかよ!!

「干渉できるってどういうこと?」

 僕は疑問に思ったことをタマにぶつけた。

「もともと私も自分の記憶の世界に居たんだにゃ。でも私の能力でアイネ姫の記憶の世界に移動できたんだにゃ。まあ私の能力外の世界にゃからできることは限られると思うけどにゃ」

 タマ意外と役立ちそうじゃないか! 僕1人で不安だったけど助かる希望が見えてきたぞ!

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