第267話 3人で力を合わせて

「ともかく! ニオベがこの世界に居るようですから邪魔されないうちに、ワールドオーナーを倒してこの世界から抜け出しましょう。3人の能力を合わせれば......あれ? ところでアイネ様の能力は何なんですか?」

 メルダリンは腕を組みながら首をかしげた。

「僕の能力は覚醒能力だよ......どんな能力か分からないけど」

「ぷぷっ......覚醒能力をアイネ様が持っているわけないじゃないですか。いくら私が下っ端女神だからってからかわないでくださいよ」

 僕は全く嘘をついているつもりはないんだけどメルダリンに笑われてしまった。

「僕の能力はさておきワールドオーナーの目星はついてるの?」

「ふっふっふ......良くぞ聞いてくれました! とりあえず片っ端から身分の高そうな人を暗殺して回ろうと思います。この世界の人たちは死んだってどうせまた生まれ変われますから」

 メルダリンはさわやかな笑顔でとんでもないことを言っている。

 この自称女神様は頭がおかしいんだろうか? そんなことしてたらすぐに打ち首になってこっちが殺されるよ!!

「いえ、私の嘘封じの能力を使えばワールドオーナーを探すのは楽だと思いますわ。こっそり聞いて回ればリスクも少ないですわ」

 あれ? もしかしてアリスは今日初めてまともな発言をしたんじゃないだろうか? これでメルダリンのアホな計画も止めて......

「えぇ......面倒ですよ。さくっとやっちゃった方が簡単ですよ」

 メルダリンは不服の言葉を漏らす。

 この自称女神様は本当に女神だったんだろうか? 女神と言えば人を守る立場じゃないの? ただの快楽殺人者みたいなこと言っているんだけど?

「ニオベに邪魔されたくないならあんまり目立つことはしない方がいいんじゃないかな?」

「うっ......それもそうですね。アリス様の能力に頼ることにします」

 僕の一言でどうやらメルダリンは納得してくれたようだ。

「それじゃあ今後の方針が決まったと言うことで次は誰を調べてみるの?」

 僕としてはザックス王子のお姉さんのカレンさん辺りが怪しいかなと思っているけど......

「私はガニアンさんが怪しいと思いますわ。セントラル王国......つまりこの世界最大の国家の第一王女ですからこの世界の支配者と言っても過言でないと思いますわ」

 なるほどアリスの言うことも一理あるね。そんなことより......

「どうしちゃったの!? 今回は全くセクハラ発言をしないじゃないか!?」

「私だってたまにはまじめに話しますわ!」

 アリスが普通のことを言ってることに驚きを隠せない僕であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る