第266話 例え話にしても伝わらないこともある

「あと2つ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

「何でも聞いてください! 女神の私に分らないことなんてありませんから」

 メルダリンは僕の質問に得意げに答える。

 分らないことなんてないとか言いながらワールドオーナーの正体知らなかったくせにとか嫌味な突っ込みはしない。

「まず1つ目。ニオベはワールドオーナーと知り合いみたいだったんだけど。ワールドオーナーと何か関係があるの?」

「いい質問ですね。そうですね......分かりやすく例えるとニオベが社長だとするとワールドオーナーは部長とか課長とかそう言うポジションになりますね」

 ふむふむ......今のメルダリンの説明で分かった読者居るかな? 居ないよね......

「あの、もう少し詳しく。今の説明じゃ何も分からないんだけど」

「これだから人間は......いいですか今度はちゃんと聞いてくださいよ」

 メルダリンは呆れたように首を横に振った。

 なぜか僕が話を聞いていなかったみたいになっているんだけど? 聞き逃したわけじゃなくてメルダリンの説明が悪くて内容が理解できなかっただけだからね!

「ニオベとアフロディテは複数の異世界を持っています。しかし、彼女たちだけで異世界すべてを管理することはできません。なので異世界転移者の中から各異世界を管理する立場の人間としてワールドオーナーを設定します。その世界では神のような力を持っているワールドオーナーに支配させることで間接的にニオベたちが異世界を管理しているわけです」

 メルダリンは今度はダルそうに話してくれた。

 なるほどそんなつながりがあったのか......それならワールドオーナーの持っている力についても納得だね。

「それじゃあ2つ目。覚醒能力にはどんなものがあるの?」

 さっき頭痛があったとき能力を聞けなかったけどメルダリンに聞けば同じことだよね。

「覚醒能力ですか? 『ラノベ主人公』しかありませんよ?」

「え?」

 僕はメルダリンの答えに唖然とする。

 あれ? 僕の持っている能力って覚醒能力じゃないの? やっぱり覚醒能力なんて嘘でしたとかそんな展開だったら許さないよ!

「何ですか? もしかして私が知らないだけじゃないかとか疑っているんですか? 覚醒能力は女神界でも超最重要機密ですから下っ端の女神じゃ知らないかもしれませんけど、私みたいな......あれ? 私って下っ端の女神じゃ......?」

 どうやらメルダリンが知らないだけの可能性が高そうだ。

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