第265話 たまに勘がいいところがあるからね
僕が自分の能力について考えているとまた頭に痛みが走り、古いビデオでも見ているかのような映像が脳内に流れだした。
前回と同じ肌の白い女性が僕の目の前でほほ笑んでいた。
「君が行く世界は乙女ゲームのような世界になるでしょう。つまり君が得る力はこの覚醒能力を持っていても違和感がないでしょう。それじゃあ能力の説明を......」
今回見えたのはそこだけだった。能力の説明をする直前ので終わってしまったのだ。
何でそこで終わるんだよ! 読者も待っているついに明かされる僕の能力だよ! 最後まで話してくれよ! 今回はは僕の持っている能力は覚醒能力だと分かっただけでも良しとしよう。
「アイネ様、どうかしたのですか?」
メルダリンが心配そうに声をかけてくれた。
「いや、何でもないよ。それよりニオベとアフロディテの最終目的は何なの? 女神たちまで洗脳して何がしたいの?」
「そんなの分かり切っているじゃありませんか」
僕の質問になぜかアリスが反応して立ち上がった。アリスはたまに勘がいいことがあるから何かに気づいたのだろうか?
「地球にはきっと自分たち好みの女の子だけ残して邪魔な人たちは異世界に飛ばしているんですわ! きっと地球は可愛い女の子にセクハラし放題の素晴らしい世界を作っているんですわ! 羨ましいですわ......」
「いえ......違いますけど?」
平常運転のアリスの回答に真面目に答えるメルダリン。
そもそもそんなことを考えるのはアリスだけじゃないんだろうか?
「地球はニオベとアフロディテの管理下にない世界なのです。だから自分たちの管理下の異世界に飛ばして人を管理しやすいようにしているのです。だから最終的には地球に人から人は居なくなるでしょう」
「で、すべての人を自分たちの管理下の異世界に飛ばした後に何するの?」
僕はまた息をのんでメルダリンの話の続きを聞こうとする。
「それは......」
「それは?」
僕はメルダリンの言葉を繰り返した。そして20秒間沈黙が続く。その間メルダリンの表情は時間が止まったように全く変わらない。
「それは今調査中です!」
「知らないなら早くそう言ってよ!」
やっぱりメルダリンもボケキャラなのかもしれないと僕は諦めたように突っ込みを入れるのだった。
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