第264話 覚醒能力
「あの......そのニオベって?」
僕は恐る恐るメルダリンに尋ねる。メルダリンはゆっくりとこちらに向き直した。
「そうですね。そのあたりも話しましょう。この計画を実行している女神は2人。その1人がニオベ、そしてもう1人がアフロディテです。その2人の女神がある特殊な力を利用して、死後の世界に居る他の女神たちを洗脳することで異世界転生・転移をシステム化しているのです。そしてその計画を『歪んだ女神システム』計画と私は呼んでいます」
「何か計画が壮大になってきたね......はっきり言ってメルダリンの妄想だとしか思えないね」
「信じてよぉ!! 本当なんだから!!」
メルダリンは僕の襟を掴んで泣きながら僕の体を揺すった。
「ちょ、ちょっと待って! 信じる! 信じるって......よく分んないけどその計画を僕は以前聞いたような気がするんだ。だから妄想とかじゃなくて現実なんだって思える」
「当然よね。女神様のお言葉なんだから!」
自分の胸に手を当てて誇らしげそうな顔をするメルダリン。
言っておくけどメルダリンの言葉だけだったら100パーセント聞き流してたからね!
「さっきの話で気になったんだけど女神が女神を洗脳するってそんなことできるの?」
「いえ、できません」
「できないのかよ!!」
僕はメルダリンの即答した言葉に突っ込みを入れざるを得なかった。
「女神は女神に対して攻撃することはできません。ですが人間にある異世界転移能力のさらに上のある能力......ここでは覚醒能力とでも言いましょうか、それを与えることでそれを実現しています」
「ある能力?」
僕はメルダリンの言葉に息をのんで聞き返した。
「そう、それは......『ラノベ主人公』という超異世界転移能力なのです!」
メルダリンはポケットに手を入れて天井を見ながら宣言する。
「いやいや、ちょっと待って......何で能力名にラノベなんて単語が入るんだよ!」
「理由は簡単です。ラノベよくありますけど男主人公が何のきっかけもなく女の子にモテモテになる......あの状況がまさに当てはまるからです」
メルダリンは天井を向いたまま目を閉じて決め顔で答えた。
「おぉおおい! 小説投稿サイトで全作者を敵に回すような発言しないでよ! 良くできた小説はいっぱいあるんだから!」
僕はとんでもないメルダリンの発言に突っ込みを入れざるを得なかった。
「まあそれはさておき、覚醒能力は普通の異世界転移能力と違って待機状態と発動状態があります。待機状態は女の子にモテて、発動状態は女の子を完全洗脳できます......たとえその相手が女神であっても」
メルダリンは補足するように付け加えた。
それにしても『ラノベ主人公』の能力って僕の男にモテるだけの能力と真反対な能力だね。何か関係があるのかな?
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