第257話 予想通り騒動が起きてしまった

 僕はそのまま手紙を封筒に戻した。

 いったいこれから何が起きるのだろうか? 全く! それぐらい書いておいて欲しいものだ!

 そんなことを考えていると部屋から「パンッ」と音が響く。

「痛っ! 何すんのよ!」

 声の方を見ると頬を赤くした少女が地面に倒れながら目の前の少女を睨んでいた。

「え? 何のことよ?」

「とぼけないで! この性悪女!」

 頬を赤くした少女は目の前の少女の頬を思いっきり引っ叩いた。

「痛っ! やったわね!! 不細工女!」

 その2人はヒートアップして取っ組み合いの喧嘩を始める。

 まずい......何があったか分らないけど止めないと!

「ちょっと......2人とも止め......」

 僕が止めようとすると部屋中のいたるところで頬を引っ叩いて少女たちが喧嘩を始めたのに気づいた。そしてそれを止めようとするメイドたちも高貴な身分の方々同士の喧嘩にどうしていいか分らず戸惑いをみせているように見えた。

 ......いったい何が起きているんだ? ん?

 僕はあることに気づいた。部屋の隅で寝ているように壁に寄り掛かっているトメが居た。

 ......怪しい。怪しすぎる。わざわざ皆から離れているなんて......まるでこの喧嘩の被害を受けないようにしているようだ。

 しばらくトメのことを観察していると一瞬目を開けてキョロキョロ辺りを確認するようなそぶりを見せるとまたすぐにぐったりとした。

 ぜ、絶対に何か能力を使っている!! 分かりやすいくらい不自然な挙動をしてるもの!!

 僕は近づいてトメにデコピンをお見舞いしてやった。

「痛っ! 何するんですか? 今デコピンされたせいで私の他人の目を見ることで意識を乗っ取る能力が解除されたじゃないですか!?」

 トメはご丁寧に能力の発動条件まで説明してくれた。

「やっぱりトメが能力を使っていたんだね」

「くっ......ばれては仕方ないですね。私の能力でアイネ姫様の意識を乗っ取り......ってなんで目を閉じてるんですか!? 目を見開いてくださいよ!! 能力が使えないじゃないですか!?」

 今回の敵は頭の方は悪そうな子でよかったよ......

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