第250話 目玉焼き論争は続くよ

「自分の舌がおかしいんちゃう? 目だけじゃなて舌まで悪いなんてかわいそうなやっちゃな」

 ヒナは目玉焼きにソースをめいっぱいかけながら半笑いで答える。

「あぁん? 上等だ......喧嘩ならいつでも買ってやるよ?」

 メガネちゃんの方はアイデンティティとも呼べるメガネを外して椅子に足をのせた。彼女たち2人の様子を見て他のパーティー参加者たちは少し怯えたような表情をしている。

 というかメガネちゃん口調変わっているんだけど! さっきまでの優等生キャラはどこ行ったんだよ!! 全く......人がいい気持ちで美少女たちを眺めているのに空気を悪くしないでもらいたいものだ。

「ちょっとお嬢様! 他のご令嬢の方々が怖がっているじゃないですか!!」

 ヒナのメイドはハリセンでご主人さまの頭を叩いた。

 おぉ! まさかのメイドの方が突っ込み!! ヒナはボケも突っ込みもできるマルチタイプの芸人になれる逸材かもしれないな。

「痛っ! 何すんねん!」

「『何すんねん』じゃありません! ほら! 周りを見渡してください! 他のご令嬢の方々が怯えていらっしゃるじゃないですか!!」

 ヒナのメイドはヒナの顔を手で掴んで辺りを見させた。ヒナはパーティー参加者たちのおびえた様子を見て少しシュンとなった様子を見せる。

「すまへんかった。迷惑かけてかんにんな......」

「ププッ! 怒られてやんの......痛たたたっ!」

 メガネちゃんの方もおそらく自分の家のメイドと思われる人に耳を引っ張られて痛がっていた。

「あなたも同罪ってこと分ってます?」

「うっ......みなさん。すみませんでした......」

 メガネちゃんの方もばつの悪そうな顔をして頭を下げた。そしてヒナとメガネちゃんは仲直りの握手をした。

「ふぅ......何とか大事にならずに済んだな。これでゆっくり朝食を......」

 僕は用意された食事を食べようとする。

「結局私たちは目玉焼きに何をかけて食べればいいのかしら?」

「そうだわ! この中で最もお美しいアイネ様と同じように食べればいいんじゃないかしら?」

 などとパーティー参加者の声が聞こえたかと思うと僕の食事する様子に注目が集まる。

 ......まさかのとばっちり!! 僕が美少女を見るのは嬉しいけど美少女たちに凝視されるのは嬉しくないぞ!!

 僕はパーティー参加者たちに終始注目されながら公開処刑のように朝食を済ましたのであった。

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