第249話 次の機会があれば
突っ込みを入れてから気づいたけど前に夢の世界に入ったときも寝ていた時間より夢を見ていた時間の方が短かったな。
「そういうところも夢と同じなのか......」
「おはようございます、アイネ様。本日のお召し物を用意しました」
「ああ、ありがと......何これ?」
またもや僕の手には水着が握られていた。
「新作の水着です!! いやぁ徹夜して作ったかいあって実はかなりの自信作です!!」
うちのメイドと思いきやミランダさんが着替え......って言うか水着だけど用意したらしい。
というか昨日の夜姿が見えないと思ったらいったい何をしているんだか。
僕は頭に手を置いて首を横に振った。
「シャーリーさん! 新しい水着を預かって欲しいそうですよ!」
「アイネ様ぁ!!」
ミランダさんの叫びも虚しくまたもやシャーリーさんの合図でスールに水着を取られてしまったのだった。
この人は全く懲りないな......ここまで来ると水着を着てあげないと可哀そうな気分になってきたよ。今度もし水着パーティーとかあったら着てあげよう。ま、たぶんやらないと思うけどね!
朝食はみんなが座れる長テーブルのような場所に用意されていた。僕も席につきメイドたちが用意してくれるのを待つ。
「ふぁあああ」
僕は人前だと言うのに大きな欠伸をしてしまった。
お姫様のくせに何しているんだって? ......なんだか寝ている間もタマと難しい話をしたせいかあんまり寝た気がしないんだ。
一方、タマの方は朝食が待ちきれずうずうずしており疲れなど全くないように見える。
「ねえ、アイネ様の先ほどのご様子ご覧になりました?」
「ええ、見ましたわ」
少し離れた席に座っているパーティー参加者たちが僕の話をしているようだ。
おっと......お嬢様方にお見苦しいところを見せちゃったかな?
「「欠伸をする姿もお美しいですわ」」
この世界の人たちはいつも通り呑気だね......まあ可愛いから許す!
「はぁ? 何言うてんねん! 目玉焼きって言うたらソースに決まっとるやろ!!」
たこ焼......じゃなくて色黒少女の大きい声が響く。
「ヒナ、いつも言ってますけど目玉焼きは醤油以外あり得ません」
知的メガネキャラっぽいお嬢様が色黒少女に反論した。
......あれ? もしかしてあの色黒少女の名前ってヒナだったんだ。やっと名前が分ったよ......
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