第247話 会いたい人
「分ったよ......でもさ性懲りもせずにまた能力を使ってるけど、何回も使えば絶対に誰か気付くと思うんだけど?」
僕は嫌味っぽくタマに質問をしてみた。
「それは心配ないにゃ。今回はアイネ姫だけに対して能力を使っているんだにゃ。それに仮に全員に使ってもバレることはないにゃ」
「え? どういうこと?」
「私のこの夢の力はあくまで夢なのにゃ。人間は夢から目覚めたときその夢の内容を鮮明に覚えていることはないのにゃ。つまりせいぜい私と話をしたことくらいで何を話したかなんて覚えてないのにゃ」
なるほど......だからパーティー参加者はあんなに能天気な反応を示して......
「ちょっと待って! 僕はばっちり覚えているんだけど?」
「それはにゃ......能力発動中に強制的に解除された場合は記憶に残るのにゃ。他のお嬢様方はあの時にはもう能力を解除していたのにゃ。覚えているのはアイネ姫とたこ焼き女だけだにゃ」
なるほど......能力が破られない自信があるからあんな真似できたということか......というか『たこ焼き女』って表現の仕方!! 僕も名前分らないけど......
「でもその......たこ焼き女に能力の説明したんでしょ?」
僕も『たこ焼き女』って言っちゃったよ......
「してないにゃ」
「してな......ふぐぅ」
タマはまた慌てて僕の口元を押さえつけた。
しまった......ついクセで突っ込みを入れそうになってしまったよ。
「突っ込み禁止だと言ったにゃ!! あのたこ焼き女がなかなか起きなかったから、暇つぶしに私がたこ焼き食べてたら勝手に突っ込んできたのにゃ」
どんな偶然だよ!! まあ、あの時はおかげで助かったけど......
「そろそろ本題の話をしてもいいかにゃ?」
タマは缶コーヒーを開けて口に含んだ。
「え......ああいいけど」
僕は缶コーヒーを手に持ったまま頷いた。
「私はマコトちゃんに会いたいのにゃ! でもまさかアイネ姫がマコトちゃんと会っているとは思わなかったけどにゃ」
そう言ってポンポンと軽く肩を叩いた。
「マコトちゃん? 誰?」
僕は聞き覚えのない名前に首をかしげた。
え? ......読者の中にはマコトちゃんが誰か知っている人が居るの!?
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