第246話 逃げたのかもしれないね
「みんな、もう遅いから寝るわよ」
「「はーい」」
シャーリーさんの掛け声でパーティー参加者は自分たちのベッドに戻っていった。
まだ全然寝てないから僕もさっさと寝よ。
僕も自分のベッドに戻り布団にもぐりこむ。ほのかに暖かさが残っていて気持ちがいい。しかし、僕はさっきまでのことを思い出してなかなか寝付けない。ふと気づけば部屋は静寂に包まれている。
......どうやらみんな寝てしまったようだね。
部屋の中はかすかに他のパーティー参加者の寝息が聞こえる。
僕も早く寝よ......って寝たらダメじゃね! またさっきの能力使われるじゃん!! でももしかしたらタマももう寝たかもしれないか......
僕は体を少し起こしてタマの居たベッドの方を見がそこにタマの姿はなかった。
あれ? タマはどこに行った?
僕は不審に思いベッドに入ったまま暗い部屋の中を見渡す。
「もしかして......逃げたのか? もしかしたら眠さでここに居るお嬢様方は突っ込みをしなかったけど翌朝になればバレるかもと思ったのかもしれないな。それならそれで僕もゆっくり寝られるか......」
「そんなわけないにゃ」
僕はすかさず後ろを振り向こうとするとタマは僕の口元をハンカチをで押さえつけた。
「タ......」
僕が声を発しようとしたところで意識が薄れていく。おそらくハンカチには睡眠薬でも染み込ませてあったのだろう。
「はっ! ここは!?」
辺りを見渡すと広い草原が広がっていた。
「気がついたかにゃ」
後ろからタマの声が聞こえたので僕は距離を取りながら振り向く。
「な、何のつもりなんだよ!? こっちは能力を破る方法だって分っているんだぞ!」
「落ち着くにゃ。今回は他のお嬢様方に話を聞かれたくなくてここに呼んだだけだにゃ。そうだ缶コーヒーでもどうかにゃ」
「ありがとう。こういう時には缶コーヒーがいいよね......って何......ふぐぅ」
タマは慌てて僕の口元を押さえつけた。
「突っ込みをすると能力が解除されてしまうにゃ。とりあえず少しだけ話しに付き合って欲しいにゃ」
とりあえず攻撃する意思はなさそうだけど、この小説で突っ込みを封じるとかやめて欲しいんだけど! ボケを上手くさばけないじゃないか!!
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