第243話 夢の世界

「ふん! まあいいにゃ! 私の名前はタマだにゃ! というかここは『どこだにゃ!』とか先に質問することがあるんじゃないかにゃ?」

 猫フード少女は腕を組んでムッとした表情を浮かべた。

 ......名前まで猫っぽい名前なんだね。

「じゃあ聞くけど......ここはどこだにゃ?」

 僕はタマに言われたままに質問を繰り返した。

「口調まで真似するんじゃないにゃ!! お前なんかに教えないにゃ! と言いたいところだけど私の能力の都合上説明しないと力が発揮できないから教えてやるにゃ!」

 能力? つまりこのタマは異世界転移者なのだろうか?

「ここは夢の世界だにゃ。私の能力は夢の世界に潜りこみその人間の記憶を自由に見ることができるのにゃ......正確には見るだけじゃなくて記憶を破壊することもできるんだにゃ!!」

 そう言ったタマは笑みを浮かべた。

「じゃあ一刻も早く目覚めないと......ってどうやって起きればいいんだ?」

 僕は慌てて立ちあがったがどうすればいいか分らず立ち尽くす。そんな様子を見たタマは声を上げて笑った。

「ふふふ......無駄だにゃ......この世界から抜け出すにはあることをしないと抜け出せないにゃ! この能力を破られたのはたった1回だけ! 絶対に無理だにゃ!」

 え? 1回とは言え破られてるんじゃん......絶対じゃないじゃん......落ち着いて考えよう。よくある展開だどこの世界で死ねば抜け出せるとか......?

 僕は口を開け思いっきり舌を......

「やっぱ舌を噛むのは無理! 痛そうだもん!」

「やめて正解だにゃ! ここで死んだとしても精神体が破壊されて廃人になるだけだにゃ! とりあえずアイネ姫、君の記憶を覗かせてもらうんだにゃ」

 タマは手を前に差し出すと光の絵のようなものが現れた。

「ほぅ......君も異世界転移者だったとはにゃ......まさか私を含めてパジャマパーティーの会場に4人も異世界転移者がいるなんて思わなかったにゃ!」

 4人の異世界転移者だって!? 僕とタマを除くと2人も異世界転移者がいるってこと!?

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