第229話 コロネのお見合い編終了!?

「あの! もしよければお礼がしたいので家に寄って行ってくれませんか?」

 ミカンは少し離れた位置にある家を指差した。

「ぜひとも!」

「ちょっと!! 私のお見合いは!?」

 僕がミカンの誘いについて行こうとしたのでコロネは僕の肩を掴んだ。

「コロネ......よく聞くんだ。王族ともあろう人間が一般市民の好意をむげにしていいと思うの? いやいいわけないよね!!」

 え? 本心はって? こんなにきれいな人にお誘いされたら断れるわけないだろ?

「た、確かに! 言われてみればそうだわ......」

 相変わらずのチョロネは僕の言葉をそのまま受け止めた。メイド長も僕のお見合いじゃないので止める様子もない。

「分りました。では、コロネ様は先にマスカット王子のもとに連れて行かせていただきます」

 いつの間にか男性用の執事服を着たクール系美人がコロネを脇に抱えていた。

「......誰?」

 僕は突然出てきた執事服美人に尋ねた。

「こら! クララ! 放しなさいよ! 一般市民の好意をむげにできないわ!」

「コロネ様、失礼ながらミカン殿を助けたのはアイネ姫様のメイド。コロネ様はお礼を受ける立場にありません。それから......アイネ姫様、お初にお目にかかります。私はコロネ様の執事をやっておりますクララと申します。以後お見知りおきを」

 クララは軽く膝を曲げ一礼した。

「えっと......よろしく」

「では失礼します」

 クララは再度一礼し、一瞬のうちにコロネとともに姿を消した。

「......というかあの人どこに居たんだろう?」

「馬車の後ろ、およそ100メートルくらいの位置をずっとついて来ていましたよ。ちなみにロイド殿下とのお見合いの際にもおりました」

 ぜ、全然気付かなかった......

「ひ、人が消えたわ......」

 ミカンは口元を手で押さえて驚きの表情を浮かべた。

 今まで僕はメイドが人間離れをした動きをするので当然のように思っていたけど、これが普通の人の反応なんだろう。

 そして僕はふと思ったことがある。

 コロネも居なくなったしもしかしてマスカット王子のお見合い行く必要なくない?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る