第220話 これはこれでイラっとするよ
「コホン......じゃあ今からおっさんは重要な話するから......そこで静かに聞くように!!」
おっさん......もといサブローさんは咳払いをした後、あぐらをかいてその場に座った。
「で、重要な話って?」
僕はスカート姿なので座るわけにもいかず立ったまま聞き返した。
「おうよ! よく聞いてくれた。今、あんたが持ってるそれ、俺の日記だろ? それ見てオレに話を聞きに来たってことはワールドオーナーを探しているってことだな?」
サブローさんは僕の持っている本を指差すと、さっきまでとまるで別人のように陽気に語り出した。
「えぇ、まあ......そうですけど。というか普通に話ができるんなら何でさっき話してくれなかったんですか?」
「へっ! 慌てるなよ。その理由を説明する前にあんたに1つだけ言っておきたいことがある。実はオレ......ワールドオーナーを出し抜いてやったのよ! 重要なことだからもう1回言わせてもらうぜ! ワールドオーナーを出し抜いてやったのよぉ!!」
サブローさんは腕を組んで自慢げな表情を浮かべた。
ワールドオーナーを......出し抜いただって!? じゃあもしかして......
「ワールドオーナーの正体を暴いたってことですか!?」
「いや? 知らないけど?」
知らないんかい!!
「オレが何したか気になるだろ? な、気になるだろ?」
サブローさん、何かこれはこれでイラっとする性格してるね。さっきのこんにゃく屋とか言ってた時もイラっとしたけど。
「いえ、別にいいです。じゃ、僕はエリシアさん探すのに忙しいのでそろそろ行きますね」
サブローさんに背を向けて僕はそのまま別の場所を探しに行こうとする。
「ま、ま、ま、ちょ......待てよ。おっさん、重要な話するって言ったじゃん! 聞いといた方がいいって!」
サブローさんは食い下がるように僕の腕を掴んだ。
......どうやら話を聞かなければならないらしい。
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