第219話 みんなで探すよ
コロネは一目散に走り去ってしまったので僕も続いて部屋を出ようとしたところで呼びとめられた。
「アイネお姉様は念のため安全なお城の中を探していただけますか?」
セレナちゃんは僕の服の裾を摘まんで呼び止めた。
そうか......一応僕は姫と言う立場上、国外で行方不明などということになったら一大事だもんね。
「お兄様の子供を産む大事な体ですから」
産まないよ? そもそも結婚する気もないよ? とりあえず今は急ぐから突っ込みはやめておこう。
「じゃあ僕は城の中を探すよ」
そう言って僕は部屋を出た。廊下まで出たところで城の広さを痛感した。
突き当りまで何百、いやもしかしたら何千メートルもあるんじゃないだろうか。城の中と言えどさすが王族というだけあって広すぎる。
「どう探そうか......エリシアさんが廊下を歩いてたら普通気づくし、かといって何もない部屋の中に隠れているはずないしな......もしかして! 庭に居るのでは?」
僕は直観的に推測した植物などの障害物が多い場所なら気づかれにくいし城の中に居るとしたら怪しい場所ナンバーワンじゃないだろうか。
早速僕は庭に出たところでサブローさんが目の前に現れた。
「なんじゃ......こんにゃく屋か! まだ帰っておらんかったのか!」
サブローさんは不機嫌そうに吐き捨てた。
「いや、だからこんにゃく屋じゃないって......あ、そうだ。実は......」
サブローさんにエリシアさんのことを聞こうとして僕は言葉に詰まった。こんな人に聞いてもしょうがないよね。話すらまともにできないのに......
「すみません。やっぱり何でもないです」
僕はそう言って立ち去ろうとした。
「どうせエリシアがまた迷子になったんだろう? 悪いがオレは見てないぜ」
サブローさんの口調が変わった。さっきまでとはまるで別人のように背を伸ばして凛々しい目つきになっている。
「サブローさん......キャラ変はやめてもらえないかな? 読者の人たちが混乱するでしょ?」
「違うだろ! この状況よく見て! 何かこのおっさんの雰囲気変わって重要なこと言おうとしているところだろう?」
「サブローさん、ナイス突っ込み!」
僕はグッジョブサインをした。
どうやらサブローさんには何か秘密がありそうだ。
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