第200話 僕、気づきました!

「とりあえず面接だけはさせてあげるんだお。自己PRをしてもらえますか?」

 何でシズクは上から目線なんだろうか?

「あざっす。オレの名前はサクヤです。えっとメイドの仕事は経験はないんですけどあるお方にたっぷりしごかれて訓練しました。得意なことはそうですね......演技ですね」

 この受験者はボクっ娘ならぬオレっ娘なのか......意外な特技を言ったけどシズクの特技同様にメイドの仕事に役に立つとは思えないけど。

「演技? じゃあ実践してほしいんだお」

 あれ? 演技なんてを言い出したからてっきりシズクは「そんなの役には立たないんだお」とか言うかと思ったのに意外と好印象なのか?

「あ、いえ。オレが演技するんじゃなくて......演技させるのが得意なんですよ。泣かせて怯える演技を」

 サクヤはとんでもないこと言っているのに顔は満面の笑みだ。

 ......というか泣かせて怯えさせる演技ってどんだけピンポイントの演技なんだよ!

 ものすごい勢いでこの部屋に近づいてくる足音が聞こえたと思ったらマーラがドアを開いて入ってきた。そしてゆっくりとサクヤに近づいていく。

「マーラさん、ちわっす......うぎゃ! 痛いじゃないですか......」

 サクヤはマーラからげんこつの一撃を受けて頭を抱えて痛がっていた。

「オイ! 何姫様怖がらせてんだ......殺すぞ」

 どうやら今日のマーラはいきなり怖いバージョンの登場のようだ。堅気とか言ってたしやっぱりサクヤはマーラの関係者だったのね。

「す、すいやせん......」

 サクヤは涙目になっていた。きっと相当痛かったのだろう。

「ひ、姫様......わ、私はここで......し、失礼します」

「ちょっと、マーラさん! オレまだ試験中......」

「黙れ。殺すぞ!」

 マーラはサクヤを引きずって部屋から出て行った。

 あ、1つ気づいたぞ! 僕がマーラに声をかけなければあの地面に寝転がるアレはやらないようだ。

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