第198話 不思議な面接
「失礼しま......」
部屋に入ってきた次の受験者が固まってしまった。おそらく受験者であるはずのシズクが椅子に座っているのを見てこの異質な状況に気づいたのだろう。ちなみにサーシャは椅子が足りなくなったのでシズクの後ろに立っているのだ。
「ボーっと突っ立って何をしているんですか? そこに座るんだお」
シズクは目の前の椅子を手で示した。それと同時に受験者の人は僕に助けを求めるような目で僕の顔をことを見ている。
「うん。気持ちは分かるけど、とりあえず座ってもらえるかな」
「あ、はい。失礼します」
僕の言葉で受験者の人は椅子に座った。その様子を見たシズクは呆れたようにな顔をして呟いた。
「はぁ......椅子に座るだけでもこんなに時間がかかるなんてやる気はあるんですか? やる気がないなら帰ってもらってもいいんだお」
またもや受験者の人は僕に助けを求めるような目で僕の顔をことを見ている。
......気持ちは分かるけど。
「えっと、やる気はあるみたいだから面接を受けさせてあげたら?」
「姫様がそう言うなら受けさせてもいいんだお。じゃあ早速自己PRをしてもらえますか?」
シズクがちゃっかり僕のことを「アイネ姫様」呼びから「姫様」呼びに変えてきたんだけど。馴れ馴れしくしてもらうのはやめて欲しいところなんだけど......
「私の名前はラムネです。えっと......今までは別のお屋敷でメイドを10年ほど勤めていた経験があります。あと、得意なことは掃除です! 掃除なら誰よりも負けない自信があります。本日はよろしくお願いします」
ラムネはペコリと頭を下げた。
なかなかいい子そうでいいじゃないか。少なくとも僕の隣に座っているシズクよりはメイドの仕事に向いているだろう。
「あなたは何言っているんですか? メイドなんだから掃除はできて当然なんだお。そんなのをアピールしてもらってもこっちは困るんだお」
あれ? シズクが意外にまともなこと言ってる。メイドの仕事ができることをアピールしてもそんなのはさっきの試験で見ているわけだから面接でわざわざ言うほどのことじゃない。
「歌とかダンスとかそういうことができるかって聞いているんだお!!」
「それこそアピールいらないでしょ!!」
僕はシズクの一言に突っ込みを入れずにはいられなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます