第197話 面接時間が長すぎたみたい

 踊りを見せられること数十分。もはや今やっているのが面接かどうか分らなくなってきたところでノックの後にメイドの1人が入室した。

「失礼します。あの......予定の時間を過ぎているのですが......というか何をなさっているんですか?」

「......うん。僕も聞きたいよ......」

 シズクがダンスを踊り、サーシャが立って応援して、僕が真顔で椅子に座っているこの状況を。

「私を知ってもらうにはダンスを見てもらうのが一番だと思ったんだお」

 シズクは決め顔で答えた。

 いや......何も分らなかったけど! もはやメイドの仕事をしたいのかどうかすら分からないよ?

「ええ、私には十分伝わりましたよ......」

 サーシャもなぜか決め顔をしていた。

 え? 何が伝わったの? というかあんなので伝わるわけないよね!?

「シーにゃんが可愛いということが!」

「それ面接とは何も関係ないことじゃないか!」

 僕は思わずサーシャの言葉に突っ込みを入れてしまった。

「とにかく時間がないので次の方の面接に移ってもらってもいいですか?」

 呼びに来てくれたメイドが呆れたような顔をして尋ねた。

「えぇ......? もうシーにゃんが合格だから別に他の面接とかしなくて良くないですか?」

 サーシャは面倒臭そうな顔をしていた。

「ダメに決まってるでしょ!」

 他の人の面接をやらないこととメルダリンを不合格にするの2つの意味で!

「えっと、次の人呼んでもらえるかな?」

「かしこまりました」

 僕は呼びに来てくれたメイドにお願いをすると、メイドは一礼をして部屋から出て行った。

「それじゃあシズクも控室に戻ってもらえるかな」

「アイネ姫様、シズクじゃなくてシーにゃんだお。間違えちゃ、めっだお!」

 シズクは人差し指を立てて僕の額を軽く小突いた。

 ......僕は何も間違えてないと思うんだけど。あれ......シズクが部屋から出て行く様子がないぞ。

「あの、シズ......シーにゃんは何でまだ部屋に居るの?」

「私もどんな人が面接に来るのか気になるので見させてもらうんだお! アイネ姫様にふさわしい人か見極めないといけないんだお!」

 なんでもう雇う側の人間の気分なんだよ!?

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