第191話 面接は緊張するよね

 コンコンとドアを叩く音が聞こえ、ドアが開かれると「失礼します」と言ってメルダリンが入室した。

「どうぞ、お座りください」

 サーシャは目の前の椅子を手で合図した。メルダリンは合図された椅子に腰かけて姿勢を正した。

「では、面接を開始します。最初の質問は......」

 サーシャが普段より真顔なせいで僕が面接を受けるわけではないに緊張してきたぞ。質問の内容は事前に聞いてないけどサーシャは何を質問するんだろうか。志望動機とかかな?

「男同士が裸で抱き合う姿の魅力について語ってください」

「ちょっと待て! それなんで聞く必要があるの!?」

 僕は立ち上がって隣に座っているサーシャに問いただした。

「姫様、面接中なんですから静かにしててくださいよ。姫様の質問の時間は後でありますから」

 サーシャは僕の肩を掴んで椅子に座らせた。

 え? 何? 僕が悪いの? 質問としておかしいよね?

「いえ、私はそういうのに興味がないので......」

「では不採用にしましょうか。ね、姫様」

 メルダリンの答えに当たり前のようにサーシャは不採用にしようとした。

「ね、姫様じゃないよ! 自分の趣味と合わないからそれはダメでしょ!」

 僕はすかさず突っ込みを入れた。

「冗談ですよ......緊張をほぐしてあげようと質問したのですがあまりBLには興味はなさそうですね。私はやっぱり感じちゃってもだえる男の子の顔が特に好きですね!」

「サーシャ......絶対今の面接とは関係ないよね?」

 僕はジト目で熱く自分の趣味について語ったサーシャのことを見た。

「コホン......ではまじめな質問をしましょうか」

 僕としては最初からそうして欲しかたかったものだ。

「志望動機とか含めて適当に自己PRしてもらえますか?」

 ......明らかにサーシャのテンションが下がっているのが分かる。こんな感じで大丈夫なのだろうか?

 メルダリンは自己PRを淡々と話しメイドの仕事のやる気があるのは僕にも伝わった。

「はい、じゃあ何か質問ありますか?」

 サーシャはやる気のない感じでメルダリンに聞いた。

「では1つだけアイネ姫様に質問が」

 僕に質問? 普通こういう質問はメイドの仕事について気になるところを聞くんじゃないのだろうか?

「アイネ姫様は......ワールドオーナーですよね?」

 先ほどとは全く異なる表情でメルダリンが僕を睨みつけたのだった。

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