第190話 気づかなくても罪です
「......以上が3次試験の合格者でーす。番号を呼ばれた受験者は最終試験会場へ移動してくださーい。それ以外の番号を呼ばれなかった受験者はご帰宅くださーい」
ソフィアが先ほどの軽い感じで合格者の発表をした。今回の合格者はたった5人だった。メルダリンも合格者の列に居たのでどうやら合格者のようだ。僕は合格者が出て行く様子を横目にソフィアが近づいてくるのが見えた。
「姫様! 試験中の私の勇姿見てもらえましたか? 自分で言うのもなんですがかなりいけてたと思いまーす!」
......試験中ね。僕は何も見ていないんだよね。僕の隣に居るグレタのせいでね。
「ごめん。試験は見てなかったんだよ」
「そんなぁ......せっかく頑張ったのに......」
ソフィアは肩を落として分かりやすく落ち込んでいた。
「全く、アイネ姫様はあんないい試験を見ないなんてもったいないことをしましたね。もう2度とあんな白熱した試験は見れないかもしれませんよ」
グレタは両手を顔の高さまで上げ首を左右に振ってやれやれと言わんばかりのポーズをした。
......誰のせいだと思ってるの? 来年受けたとしても姫様権限で不採用にするよ? ......おっと、そもそも来年までこの世界に居る気はないんだった。
「姫様、失礼します」
音もなくメイド長が突然現れた。
「どうしたの? メイド長」
「急遽、国王様の元にエリナ、ソフィア、私の3名のメイドが向かうようにとご命令を受けましたので2人を連れて行きます。なお、最終試験は姫様と私の代わりにサーシャで面接となりますので以降はサーシャが姫様の担当をします」
何かあったんだろうか。そっちも気になるところだけどこれはチャンスだ。メルダリンと直接会話することができるぞ!
「姫様、最終試験会場に向かいましょう」
合流したサーシャは僕を連れて最終試験会場に向かった。
最終試験会場は個室が用意されており、僕、サーシャ、受験者の3人で話すように椅子が並べられていた。僕とサーシャは試験官の席に座った。
「最初の受験者は......メルダリンですね。ええっと......メイド歴なし。へぇ......メイド歴なしで最終試験まで来れるなんてなかなか凄いですね」
サーシャは履歴書と思われる書類に目を通しながら呟いた。
いきなりメルダリンか......よし! 気合いを入れなきゃだね!
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