第187話 2つの安心
しばらく時間がたつにつれ洗濯を終えた受験者たちが現れる。そして受験者たちは洗濯した布巾をメイド長とサーシャで次々と査定してもらっていった。すべての受験者を査定し終わるとサーシャが合格者の受験番号を読み上げる。
「......以上、2次試験の合格者は50名。番号を呼ばれた受験者は3次試験会場へ移動してください。それ以外の番号を呼ばれなかった受験者はご帰宅ください」
合格者と不合格者はがそれぞれ移動し始める。
合格者は50人、つまり2次試験で約450人が帰るわけだ。ワールドオーナーの協力者がこの中に居ないことを願うばかりだ。そういえば......メルダリンは残っているだろうか。メルダリンの受験番号なんて覚えてないから受験番号で呼ばれても分らないよ!
「エリナ、さっきのメルダリンって人は!?」
「メルダリン? さっきメイド長に質問していた人でぇすね。あの人なら合格したみたいでぇすね」
エリナは合格者の列に居たメルダリンを指差した。
「そっか......」
よし! 一番あやしいメルダリンを調べるチャンスはありそうで一安心だ。会話する機会でもあればもっといいのだれど......
「姫様はメルダリンが気になっているのでぇすか? 少なくとも洗濯に関する技術力はすごいみたいでぇすよ。洗濯した布巾......まるで新品のように綺麗になってまぁす。洗濯の方法を知らなかったとはとても思えないくらい素晴らしい出来でぇすね」
エリナはメルダリンの洗濯して真っ白になった布巾を眺めながら言った。
「......というか何でエリナはその布巾がメルダリンの洗濯したものだって分かったの?」
たまたまメルダリンを見ていたからという可能性もなくはないけど何となく気になって僕は聞いてみた。
「え? そんなの匂いで分かるじゃないでぇすか?」
いや......当然のように言われても困るんだけど......そういえばエリナは嗅覚がすごいんだったね。
「ちょ......待ってください! メイドの試験は不合格って言われましたけど、ペット枠がまだ残っているでしょうが!!」
「いや、そんな枠無いから! これ以上変なこと言うなら牢に入れるぞ!」
声の方向を見ると不合格になったと思われる人と兵士が言い争いをしていた。
どうやらあの変な人は不合格になったみたいだ。こっちもこっちで一安心だな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます