第184話 定員ってあるもんね
ひとまず採用試験を受けた候補者の中に協力者がいる可能性も考慮しよう。採用試験と言うことは少なからず一定数は不採用が出るはずだ。つまり、不採用となった人は行方も分からなくなるな。この家で働いている人は後回しにしてまずは採用試験を受けている人達を確認しておこう。
「エリナ、僕も採用試験を見学していってもいいかな?」
「え? 大丈夫だと思いまぁす。でも見てて面白いものではないと思いまぁすよ?」
エリナは僕の質問が意外だったのか少し驚いたような表情を見せた。
「構わないよ。どんな人が新しいメイドになるのか気になるんだ」
「承知しまぁした。でも、もしかしたら採用なしの可能性もありまぁすけど......」
「......ちょっと待って! 採用試験なのに何で採用なしの可能性があるの!?」
僕はエリナの意外な言葉にすかさず反応した。
「何でとおっしゃられても......私も詳しくは知らないのでぇすが、今年は定期採用以外に1人採用してしまったからじゃないでぇすかね? 私の故郷からも何人か受験してまぁすけど、今年は例年以上に難関なので残念なんでぇすよ」
ええっとつまりその1人というのはアスカか......アスカのことか!! 僕が勝手にアスカを採用したせいで採用枠が減ったということか......
少し心苦しい気分で僕は採用試験の会場に向かうのだった。
試験会場に着くと試験前の休憩時間のようで本を読んでいる者や準備運動をしている者などがいた。そして、中には見覚えのある顔も見える。そう、以前にエリナと一緒に行ったグラエム王子の領地に居た人たちだ。
「エリナ、久し振りね。さあ今すぐ退職届を出し来なさい! 私たちの採用枠を1つでも増やすためにね!」
「エリナ、あんたは実家に帰りなさい! あんたみたいな田舎臭いやつがいるとアイネ姫様の迷惑でしょ!」
同郷の人たちが近づいて来て挨拶をするかのように相変わらずひどいことをエリナに言っていた。
「みんな、お久しぶりでぇす! 試験は大変でぇすが応援してまぁす!」
エリナもエリナで言われ慣れているのか罵声が聞こえなかったかのように普通に返事をしてるんだけど......
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