第178話 意外な再会
アリスに質問されると僕の体が僕の意思で自由に動かなくなった。
「僕は......知らないです」
口も僕の意思とは関係なく動いた。
一体何が起きたんだ!? このアリスって女の子は......まさか異世界転移者!? しかもワールドオーナーまで知っている!?
体は自由に動かないが考えることだけはできたので頭をフルに働かせた。
「むむぅ......ワールドオーナーの協力者はお姉様かと思ったのですがどうやら違ったようですわね......とりあえず記憶を消しておきますわね」
アリスは右手を僕の方に向け頭の上に乗せた。
「忘れてもらいますわ......」
その言葉と同時にアリスの手が光り始める。僕はその眩しさで目を閉じた。
『お久しぶりッス』
目を閉じると瞼の奥になぜか見覚えのある忍者の顔が見えたのだ。いや......顔が見えただけじゃなく声も聞こえている。
『前に教えたと思うけど頭を触らせてもらった時に君に細工をさせてもらったッスよ。あと......これはビデオレターみたいなものッスから会話とかわできないッスよ』
おい......聞いてないよそんなことと突っ込みたかったが声が出ないし、どうやら突っ込んでも無駄なようだ。
『これは記憶消去の能力を受けた時に発動して、1度だけ記憶消去を無効化するようにしたッス。ワールドオーナーに記憶を消される可能性もあるかと思って記憶を消去されないようにしたッス。それがしに賛辞の言葉を送ってもいいッスよ!』
忍者は腰に両手をあててふんぞり返っていた。
この態度はともかくとして意外と役に立つことしてくれるじゃないか。
『さあ! 目の前にいる記憶を消して安心しきったワールドオーナーを今こそ短剣で刺すッス!』
あの......たぶん目の前にいるのはワールドオーナーじゃないと思うけど。だって、口ぶりからしてワールドオーナーの協力者を探しているようだかむしろワールドオーナーと敵視しているようだし......
『おめでとうッス! これでそれがしたちの勝利ッスね!』
忍者はグッジョブサインをしていた。
「勝利じゃないよ! 全く! こんな展開予想するくらいだったらワールドオーナーのヒントくらい残せよ!」
体が自由に動くようになったことに気づき、僕は目を開けて突っ込みを入れた。
「お姉様......まさか......私の記憶消去の能力が効いてないのですか!?」
アリスはもう一度右手で僕の頭に触ろうと手を伸ばした。
「待って! 僕もワールドオーナーを探してるんだ!」
僕はアリスの右手を掴んで止めた。
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