第179話 アリスの過去

「まさか......お姉様もワールドオーナーを探しているのですか?」

 アリスは伸ばした手を下げて僕に尋ねた。

「そうだよ。僕はワールドオーナーを探している。『お姉様も』ってことはアリスも探しているんだね」

「ええ......その通りですわ。でもどうしてお姉様はワールドオーナーを探しているのですか?」

 僕はこれまでのいきさつをアリスに説明した。

「なるほど......その忍者の言っていることは合っていると思いますわ。ワールドオーナーを倒さないとこの世界からは出られないと思いますわ」

「やっぱりか......ところでアリスはどうしてワールドオーナーを探しているの?」

「私は元々別の異世界に居たのですがなんとその世界には.......私以外女の子が居なかったんですわ!」

 え? 何の話をしているの? ワールドオーナーを探している理由を聞いたんだよ?

「ほら、私は女の子にセクハラするとが生甲斐なのでそんな世界耐えきれなくて世界から抜け出す方法を探すことにしたんですわ」

 アリスは自分の性癖を至極当たり前のことを言っているかのような顔をして語っていた。

 ......というかこの子のセクハラは素だったのか。

「そこで私の異世界転移の特典である嘘封じの力で手当たり次第にその世界から脱出する方法を聞いてみたのですわ」

「なるほど......そこでワールドオーナーの存在を聞きだすことができたってこと?」

 僕の質問にアリスはコクリと頷いた。

「そして私はその世界のワールドオーナーにたどりついてみごと倒すことができたのですわ」

 ワールドオーナー倒した!? つまり......

「もしかしてアリスも能力殺しの短剣を持ってたの!?」

「短剣? いえ......そのようなものは持っていませんわ。私がワールドオーナーに触ったら『嫌ぁああああ!! 女! 女に触られたわ!!』と言って気絶しただけですわ」

 ......この世界のワールドオーナーはたぶんこの方法じゃ倒せないな。一度きりしか使えないこの短剣を使うしかないか......

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