第177話 妹の正体

 メイド長たちが戻ってくるまでこの変た......じゃなくて妹の相手をしないといけないわけか。まあ、適当な会話をしるうちにすぐに戻ってくるだろう。

「そうだ......アリスはこの家の近くに住んでるの?」

 お付きの人が居ないところを見るとおそらく馬車を使わずにここに来たのだろう。

「はい。ほんの20キロくらいの場所ですわ。私も最近こちらにお姉様が住んでいることを知りましてお会いに来たのですわ」

 20キロはほんのと言う距離じゃないと思うよ? ちょっとしたマラソンしてるくらいの距離なんだけど......

「へ、へぇ......結構体力あるんだね......」

「いえいえ! お姉様を想っていたらすぐに着きましたわ!」

 アリスは無邪気な笑顔を僕に見せた。

 なんだかんだ言っても今日アリスがここに来たのは僕に会いたいからでそう言う意味では可愛い妹なのかもしれない。

「お姉様! 私もお姉様に聞きたいことがあるのですがよろしいですか?」

「聞きたいこと? 何でも聞いてよ。ま、変なこと聞いたら答えないかもだけど」

 僕は笑いながら答えた。

「ふふふ......はできませんわ」

 アリスは自分の口元に軽く右手をあてて笑いながら言った。

 何言ってんだこの変態妹は......やっぱりメイド長の言う精神的に問題があるというのは事実だろう。

 アリスは顔を上げまっすぐと僕の目をその銀色の瞳で見つめる。そしてその瞳を見ているうちにあることに気づいた。

「アリス......瞳が赤く!?」

 先ほどまで銀色だったアリスの瞳が赤く変色していったのだ。

「質問しますわ......お姉様は誰がワールドオーナーか知っていますか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る