第176話 異常な訪問者
「お久しぶりですわ! お姉様!」
少女がすかさず仰向けに寝転がって僕のスカートの中を覗き込んだ。
「何この子!? 何でスカートの中を覗き込んでいるの!? あれ......さっきお姉様って......はっ! もしかして僕の妹?」
とりあえず僕はスカートの中を覗かれるのは嫌なので、スカートを押さえその場から移動した。
「はぁ......やっぱり見つかってしまいましたか」
サーシャは右手で頭を抱えていた。
「姫様! ご無事ですか?」
その声とともにメイド長も部屋に入ってきた。
「ご無事って......妹が来ただけじゃないの?」
ちなみにその妹は今、僕のささやかなサイズの胸に頬ずりをしている。
「その妹君であるアリス様は少々精神的に問題がありまして......おかしな行動を取られるものですから」
メイド長の言葉から察するにどうやら妹の名前はアリスと言うらしい。
「え? どこが? 私は普通ですわ!」
アリスは立ち上がって首をかしげていた。
ドアを蹴破って入っていたり、挨拶代りにスカートを覗いてきたりしてたもんな......ちょっと、いや、かなり普通とずれているようだ。
「申し訳ありませんがすぐに帰っていただけます。またお屋敷を抜け出してきたのでしょう?」
メイド長がアリスの手を掴んで部屋の外に連れ出そうとする。
「い~や~で~す~わ~」
それに対してアリスは必死に足に力を入れてこの部屋に踏みとどまろうとしている。仕方ないから僕が助けてあげるか......
「あのメイド長、家族なんだからちょっとくらい許してあげてもいいんじゃないかな?」
メイド長は諦めたようにため息をついた。
「......分りました。1時間だけですよ。アリス様のお屋敷には私のほうから連絡します。サーシャはお茶の用意を」
「はい。メイド長」
サーシャが返事をして部屋から出て行った。
「さて、まずはこのドアを直しましょうか」
そう言ったメイド長はほんの1分とたたずドアを直してしまった。
「では、ドアも直りましたので失礼します」
メイド長は一礼をしてドアを閉めて出て行った。
「あのさアリス、そろそろ放してくれない?」
さっきからアリスはずっと僕に抱きついているのだ。悪い気はしないけどいい加減離れて欲しい。
「離れたらこの胸の感触が味わえないじゃないですか!」
やっぱりこの妹......どこか頭のネジが外れているのかもしれない。
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