第175話 これを何に使えと?
あれから数分たったがサーシャが見張るように部屋の中で僕のことを見ている。見張っている人が特殊性癖の持ち主なのでこの状況はある意味恐怖ではあるけど、今はそんなことよりこの状況が気になる。普段ならメイドの誰かが今日の予定を教えてくれてもいい時間なのだがそれを伝えに来る様子もない。お見合いをしなくてよさそうなのでそう言う意味ではありがたいのだけれど。
「サーシャ、今日の予定を教えてもらえるかな?」
「今日は自由にしてていいですよ」
自由にしてていいって......それじゃあまずは部屋から出してもらえないかな? と言うと揉まれそうなので、本がたくさん置いてあった部屋から持ってきた小説を読み始めようとしたが、寒気がしてトイレに行きたくなってしまった。
「サーシャ、トイレに行ってもいいかな?」
「仕方ないですね......こちらをお使いください」
サーシャは何かを取り出して僕に手渡した。
「ありがとう......何これ?」
「見て分かりませんか? 花瓶ですよ」
「いや......そんなことを聞いているんじゃないよ! 何でトイレに行きたい僕にこんなものを渡すのかを聞きたいんだよ!」
僕は花瓶をサーシャに突き返して叫んだ。
「ああ......なるほど。これは失礼しました」
サーシャは花瓶を持ったまま頭を下げた。
「全く......分ってくれればいいんだよ」
「使い方を説明しておりませんでしたね。私が及ばずながら手伝いを......」
さっと花瓶を僕のほうに近づける。
「いいかげんにしてくれ!」
僕はそばにあった小説の本でサーシャの頭を叩こうとしたがサーシャがすかさず白羽取りのように本をキャッチした。
「姫様、はしたないことはやめてください」
サーシャは掴んだ本をそのままベッドの上に置いた。
というか今さっき花瓶で僕にやらせたことははしたなくないんだろうか?
「とにかく! 花瓶はなし! トイレには行かせてもらうよ」
「ダメですよ! 待ってくださ......」
サーシャがトイレに向かう僕を止めようとしたところで、ドアが蹴破られて金色の髪で銀色の瞳少女が部屋に入ってきた。
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