第174話 いつもと違う朝

 翌朝、僕は目を覚ましてしたがベッドの上で家のベッドでうつ伏せになっていた。

「何もやる気が起きない......」

 昨日のお見合いでニーナのひいおじい様は痴呆で話せないし、ジーク王子はツンデレとか勘違いしてるし、ニーナと話したらメイド長に邪魔されるし。全く......あの忍者とんでもない面倒なことさせやがって!

「姫様! 大変です!」

 僕の部屋のドアが突然開かれたと思ったらそこにはサーシャが立っていた。

「ここはレディの部屋だよ......ノックくらいして欲しいものだね」

 別にサーシャに対して怒っていたわけではないけど不機嫌だったせいで僕はつい悪態をついた。

「申し訳ありません。急いでいたもので......」

「何かあったの?」

 必死にペコペコ頭を下げるサーシャに聞いてみた。

 普段冷静なサーシャがこんなに取り乱しているなんてただ事じゃなさそうだ。

「姫様の......その......家族のかたがお見えでして......部屋から出ないでいただきたいのです」

 サーシャの歯切れの悪い言い方は何だろう? 国王様や王妃様が来たならわざわざ「家族のかた」などとは言わずそのまま普通に口にするだろう。しかも目線がかなり泳いでいるし部屋から出ないでとは怪しい......何か隠しているな。

「家族......というと具体的には誰のことかな?」

「家族は家族ですよ! そんな分かり切ったこと言わないでくださいよ。それにしても今日もいい天気ですね!」

 サーシャは横向いて口笛でも吹きながら僕から目線を逸らした。

 ......というか僕の部屋の窓から外が見えるけど、なかなかに強い雨が降っているよ? だけど逆にここまで隠されると何としても暴きたいね!

「じゃあその家族の名前を教えてもらえるかな?」

「さあ? 名前はお聞きしなかったので分かりませんね。そんなことより昨日のジーク殿下とのお見合いはどうでしたか?」

 答える気はないようだ。

「じゃあ、僕が直接会いに行くとするよ」

 そう言って部屋から出ようとするとサーシャが大の字になってドアの前に立った。

「どいてもらえるかな?」

「ダメです。どうしても出たいと言うなら......」

「言うなら?」

「姫様のあんなところやこんなところを揉ませていただきます!」

 サーシャはいやらしい手つきで僕に迫ってきた。

「やっぱり部屋の中にいることにします!」

 僕は即答してベッドに戻ったのだった。

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