第166話 今度はこっちが攻める番だ!
翌朝、珍しくお見合いの日に憂鬱な気分ではなかった。なぜなら今日のお見合いには目的があるからだ。
「姫様、そろそろよろしいでしょうか?」
メイド長が馬車のドアを開いて僕が馬車に乗り込むのを待っていた。
「今行くよ!」
僕は足早に馬車に乗り込むとそこにはカタリナが座っていた。
なるほどニーナの弟子だけあって今日のお供はカタリナということか。
「姫様、本日はよろしくお願いします」
「うん。よろしく」
何だか今回の旅は安心できそうだな。ニーナは今まで会ったメイドの中では一番メイドっぽいし! あれ? でもカタリナってメイド長に次ぐ2番目に偉いメイドじゃないのかな? この前メイド長の留守を任されていたし......
「姫様、ご安心ください。本日はアスカがいませんので彼女たちだけでも仕事を任せられます」
「そうか。そうか。アスカがいないから大丈夫......ん?」
メイド長、その理論だとアスカがとんでもないお荷物......いや、否定はできないか。
僕はメイド長の言葉に納得してしまった。
「それでは行きましょう」
メイド長の言葉と同時に馬車が走り出す。
「あのさカタリナ......ジーク王子の国ってどんな国なの?」
カタリナは自分の顎に人差し指をつけて考える様子を見せた後に答え始める。
「そうですね......一言でいえば学問の国と言ったところでしょうか。私が学習していたメイドは学もちろん武術学、医学、物理学、考古学......」
その後もいろいろな学問の名前をカタリナは挙げていく。つまり隣国が攻め入るほどのとても膨大な知識を持った国と言ったところだろう。
「そして、それらの大半の授業はニーナ様がやってます!」
カタリナは誇らしげに人差し指を立てて説明をした。
......あの幼女、本当に10歳なのだろうか......いや待て、僕みたいに前世があるとしたら? よし! カタリナにニーナのことを聞いてみよう。もしかしたら何か手掛かりになることが分かるかもしれない。
「それでカタリナはニーナのから教わったんだよね? ニーナの授業ってどんなだったの?」
「はい。ニーナ様の授業は......」
笑顔で答えようとしたカタリナの顔が急に青ざめて体がプルプルと震え始めた。
「ちょ! どうしたの!?」
「おそらくニーナの行った授業を思い出してこうなったのでしょう」
機能停止してしまったカタリナの代わりにメイド長が答えた。
あの幼女の授業......やっぱりかなり恐ろしいものだったんだね......
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