第四章 ワールドオーナーは誰だ

第165話 ワールドオーナーについて考えてみる

「はぁ......疲れた!」

 僕は部屋に戻るとベッドの上に寝転がってくつろぎ始めた。そして忍者の言ったことについて考え始める。

 まずは状況を整理しよう。僕はどうやらワールドオーナーのせいでこの世界から出られない。だからワールドオーナーを見つける必要があると。確か特徴はこの世界じゃ知りえないことを知っているだったな。

 ......その情報だけだと一番あやしいのはニーナじゃないだろうか?

 ニーナは以前に僕のところに日本食を作りに来たことがある。日本を知らないと言っていたけどあれが嘘だとしたら圧倒的にニーナがワールドオーナーの可能性が高い。

「よし! 今度ニーナに実際に会って確かめてよう!」

 そもそもワールドーナーの目的って何だろう? 僕をこの世界に閉じ込めて何がしたいんだろう? なんかこの世界って乙女ゲームみたいな世界観だよね......はっ! もしかして!

 僕はベッドから飛び起きた。

「姫は王子と結婚しないといけないのか?」

 つまり僕と結婚したがっている王子の誰かがワールドオーナーなのか? ますます分からなくなってきた。

「姫様、ようやく分っていただけましたか」

 部屋の入口を見るとメイド長が立っていた。

「いや......何で部屋にいるの?」

 相変わらずメイド長は突然登場するので僕はもはや驚くというより呆れてしまった。

「夕食の用意ができましたのでお声をかけようかと思いまして......しかしまさか姫様がご自分で『結婚しないといけない』と口にされるとは......」

 メイド長はハンカチで自分の涙を拭いていた。

「いやいや! 泣くほどのことじゃないでしょ!」

 王子と姫は結婚するものでしょ? 結婚したがらない姫なんているわけ......あ、それ僕じゃん。

「申し訳ありません。つい嬉しくて涙が出てしまいました。それと先ほど姫様がおっしゃられておりましたニーナに会えますよ。明日はジーク殿下とのお見合いの予定となっております」

「というかメイド長いつからいたの?」

「姫様が『はぁ......疲れた!』とおっしゃられたところからです」

 それ最初のところ! いや、メイド長なら気配を消して部屋にいてもおかしくないか......

 メイド長に突っ込みを入れるのは止め、僕は夕食を手早く食べて明日のお見合いに備えるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る