第160話 断片の記憶
「え、ちょっと......ちょっと待って!」
頭で理解するとなおさら混乱してきた。なんで......この忍者が俺の本名を知っているの? ましてや今日初めて会ったこの忍者が......?
「ねぇ......早くして欲しいッス......この後も用事があるんッスから」
忍者は寝転がってポテチをパリッとかじっていた。そして口元の布をはずしているおかげで顔がはっきりと見えた。その顔は可愛らしい女の子の顔だった。
なんだ......この子女の子だったんだ......いや、そうじゃなくて何この忍者? このシリアス展開で何でポテチ食べてんの? ふざけてるとこの温厚な僕でも一発殴っちゃうよ?
「痛っ......」
不意に頭に痛みが走り古いビデオでも見ているかのように脳内に映像が流れだした。
顔はよく見えないけれどとても肌の白い女性が僕の目の前に立っていた。
『本当に後悔はしないのですか? その選択は君にとってとても残酷な選択になるのですよ?』
僕は少しだけ笑みを漏らしてこう答えた。
「あいつを助けるにはそれしか方法がないんでしょ? だったら何も迷う必要はないさ」
一瞬だけ見えた映像はそこだけだった。
「何? 今のは?」
忍者は相変わらずポテチを食べながら本のページをめくって......オイ! いつの間に本まで取り出したんだよ!?
そんなことを考えていると忍者の体が光り出した。
「時間切れ......ってことッスか......悪いけど詳しく説明している時間はないッスから要点だけかいつまんで説明するッス!」
「え、いや......こっちはいろいろ聞きたいことがあるんだけど!」
忍者は首を横に振った。
「時間がないから無理です。君にはワールドオーナー......この世界の支配者を見つけてもらいます」
ワールドオーナー? 支配者? 何を言っているんだこの忍者は......そんなことより。
「あの......語尾に『ッス』ってつけてないよ? キャラぶれは混乱するからやめた方がいいんじゃないかな?」
「こっちが素なんです! 変な所に突っ込みを入れないで貰えますか?」
忍者は顔を真っ赤にして叫んだ。どうやらこの件には突っ込んで欲しくなかったようだ。
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