第158話 堂々と忍者が侵入してきた

 忍者が話している隙をついて、メイド長は一気に忍者との距離を詰めた。しかし、忍者は一気に後ろにジャンプしたかと思うとそのまま廊下を走って逃げた。

 ......走って逃げている? どうして? 前みたいにワープみたいなことをすればその必要もないのに?

「セバス! あの者を絶対に捕まえるのだ!」

「はい。仰せのままに、国王様」

 セバスチャンは返事をしたのと同時に姿が消えた......

「まさか.......メイド長のお父さんもワープができるの!?」

 僕は驚きのあまり疑問を口にした。するとすぐさまメイド長がその問いに答える。

「いえ、あれは1000メートルを1秒で走る父の特技です。」

 それはもはや走るというよりワープと言ってもほぼ間違いないのでは? そして......もはや人間技とは思えない特技なんだけど!

「でもこれなら安心......」

「何が安心何ッスか?」

 僕は顔を上げると忍者の姿がそこにあった。そしてすかさず忍者は煙玉をその場に投げた。

「姫様!! フギャ!!」

 アスカはすかさず手を伸ばして僕の服を掴んで......こけたみたいだ。みたいというのは煙がすごくて周りがほとんど見えないのだ。

 そんな中すさまじいスピードで近づいてくる足音が聞こえてきた。

「メイド長!!」

「姫様ご無事ですか!?」

 メイド長の姿がはっきり見える距離まで近づいていていた。だが安心しきった僕に予想外もしないことが起こったのだ。そう......一瞬にして周りの景色が変わったのだ。

「何......これ? ってか寒っ!!」

 猛吹雪のおそらく山の中と思われる場所に出たのだ。気温計は持っていないけどたぶんマイナス10℃くらいじゃないだろうか?

「ああ、ごめんッス! 今暖かくするッスから」

 忍者がそう言うと猛吹雪が吹いているのにもかかわらず次第に暖かくなっていった。

「一体何が!?」

「それより下を見るッス」

 忍者が僕の足下を指差したのでその先を見ると......僕はアスカをお尻で踏んでいたのだ。

「姫様、降りて欲しいです......」

「わっ! ごめんアスカ!」

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