第153話 悪党のプライド
3人の盗賊が縛りあげられたのを見てどこからか街の人たちがわらわらと現れた。そのうち男性の1人が僕たちの前まで近づいた。
「ドヴァさん、ありがとうございます......それに、そちらにいらっしゃるのはもしかして、いや間違いなく姫様ですよね。本当に美しい女性というのを生まれて初めて見ました」
「やだよあんた......美しい女性ないらあんたの隣にいるでしょ? まあ、姫様ほどではないにしてもその次くらいには美人でしょ?」
ちょっと太めの女性も近づいて、先ほどの男性の肩を軽く叩いた。
「お前、冗談は顔だけにしろ!! 比べることすら姫様に失礼だろうが!」
「な、何ですって!?」
女性のほうが男性の頭をポカポカと叩き始めると周りから「もっとやれやれ!」と野次が聞こえる。なんだか慣れた感じのする喧嘩に見えるしどうやらこの2人は夫婦なのだろう。
「まあまあお2人とも落ち着いてください。奥さんも美人ですから安心してください」
とりあえず僕は2人の喧嘩を仲裁に入った。
......一応、この人たちは僕の国の人だし姫様っぽいことをしとかないと。
「ケッ......いい気なもんだな、オイ! 俺たちを捕まえたくらいで調子に乗ってんじゃねぇぞ! お頭が来ればこんな街すぐ潰してやるよ!」
縄で縛られている盗賊の1人が目を覚ましたようだ。
「そうか......なら安心しろ。後でたっぷりとそのお頭とやらについて牢屋で話を聞いてやる」
ドヴァは盗賊の髪の毛を掴んで脅すように睨んだ。
「ケッ......誰が話すか! 拷問されても絶対に何もしゃべらねぇ!」
死んでも仲間は売らないってやつか......悪党にも悪党なりのプライドがあるってことなんだろう。
「おーい。姫の姉御!」
声の方向を見てみると刺青の男たちがざっと見た感じ100人以上が近づいてきて僕たちの前で立ち止まった。
えっと確かこの人たち確か
「えっと? なんでこんなところに?」
「マーラさ......じゃなくて
刺青のリーダーっぽい人がペコペコしながらなんだか嬉しそうな顔をしていた。
「オイ! 何なんだあんたら! 何で一国の姫にあんなゴロツキどもがペコペコしてんだよ!」
盗賊が僕たちのやり取りを見て半泣きで突っ込みを入れた。
あれ? もしかしてこの盗賊ビビってる?
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