第150話 盗賊団が近くの街に来たみたい

「「ありがとうございます!!」」

 イェダンとドヴァは一礼をしてそのまま部屋から出て行こうとする。

「ちょっと待てドヴァ......」

 アウラはドヴァの肩をがっしり掴んで部屋から出るのを止めた。

「どうかしたんですか、団長?」

「『どうかしたんですか』じゃないだろ? お前はまだ休憩終わってから1時間経ってないだろ?」

「えっ......そうでしたっけ?」

 ドヴァは前と同じようにとぼけていた。

「失礼します!」

 イェダンと入れ替わりにドアから兵士が1人入ってきた。

「どうした?」

 アウラは入ってきた兵士に尋ねた。

「はっ! 近隣の街で盗賊団が暴れているようで街の方から被害の報告がありました。至急、イェダンさんかドヴァさんに来ていただきたいのですが......」

「イェダン! 戻れ......チッ......なんて逃げ足してるんだ」

 アウラは兵士の報告を聞いてすぐさまドアに駆け寄ったがその姿はもうそこにはなかった。

「仕方がない......ドヴァ。姫様と一緒に街の方まで行ってくれ」

「おぉおおい! アウラ! 何考えているんだ! アイネちゃんを何て危険な場所に連れて行こうとしているんだ! アイネちゃんに傷一つでもつけたら死罪にするぞ! お前が代わりに行ってくればいいだろ!」

 国王様はアウラの発言に反応して目だけで人を殺せそうな顔をしていた。

「落ち着いてください国王様。私はこの後すぐ別件の事件のほうに向かわなければなりませんので。それに大丈夫ですよ......ドヴァはとても強いですから」

 アウラは国王様に両の掌を向けて落ち着くようになだめていた。

「パパ、お願い。ドヴァは強いから大丈夫だよ。それにアウラだってお仕事あるから邪魔しちゃだめだよ」

「まぁ......アイネちゃんがそう言うなら.....」

 ドヴァが強いかどうかは知らないけどこう言って正解だったようだ。娘LOVEの国王様だけあって僕の一言で黙ってくれた。

「団長! 質問があります!」

 国王様とアウラに割り込んでドヴァは手を挙げて声をかけた。

「ドヴァ、許可する」

「私の休憩......」

「我慢しろ!」

 さすがにアウラも我慢の限界なのか最後までドヴァの話を聞かずに却下したのだった。

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