第143話 国王様と王妃様再び
「ん~。いい朝だ」
今度はしっかり日が昇って明るい時間に目が覚めた。
「おはようございます、姫様」
メイド長がベッドの横に立っている。
いつもは居ないのに珍しいこともあるんだな。もしかしたら夜中に不法侵入忍者が入ってきたから警備でもしててくれたのだろうか?
「おはよう、メイド長」
「それでは姫様は早く着替えをしましょう」
「着替え? いつもはもっとゆっくりなのに......今日のお見合いはそんなに朝早くからなの?」
できることなら朝からじゃなくて昼から......いや夜から......もっと言えばいっそ中止して欲しいくらいだけど。
「本日はお見合いの予定はありません」
メイド長から意外な答えが返ってきた。
「え? 今日はお見合いじゃないの!? 久し振りの休みってこと!?」
「いえ、本日は国王様と王妃様がお越しになられております」
......ああ、あの娘LOVEの両親ね。あれはあれで扱いが難しいんだよな......ま、お見合いするよりましか! ......ってもう来てるのかよ!?
「姫様、それでは失礼します」
僕はメイド長に着替えされられた後、国王様と王妃様が待っている部屋に移動した。渋めの鼻ヒゲの国王様と20代にしか見えない王妃様、それにセバスチャンとかいう執事が部屋で待っていた。
「アイネちゃん、元気にしてたかしら? パパとママが会いに来たわよ。何か変わったことないかしら?」
王妃様は僕に抱きつきながら僕の頬ずりしながら尋ねた。
変わったこと......もはやこの世界で会った人がことごとく変人という意味では変わったことばかりの毎日だよ......
「王妃様、失礼ながら私のほうから報告があります。本日未明に怪しげな全身黒ずくめの者が姫様の部屋に侵入しました。マーラが何とか撃退しましたが拘束はできませんでした」
メイド長が淡々と夜中に起きた事件について王妃様に報告した。
「な、何だと......」
国王様は驚きの表情を浮かべその場に立ちあがったかと思うとすぐさまメイド長のほうを向いた。もしかしてメイド長が取り逃がしたことを叱責されるのではないだろうかと考えた僕は国王様がその先を言う前に弁解する。
「聞いてパパ! メイド長は僕を守ってくれたんだよ......だから怒るのをやめてあげて」
「大丈夫だよ。アイネちゃん。パパはそんなことしないよ......ただね、パパはちょっとこの家にある処刑器具があるかメイド長に確認しようとしただけだよ」
国王様は笑顔で僕の頭を撫でた.......いやこれ笑顔なのか!? 怖いんだけど! それにしても不法侵入忍者さんのほうを心配しないといけないことになるとは思わなかったよ。
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