第三章 謎の忍者がやってきた
第142話 世界観的におかしいよね?
僕は夜中に自分の部屋のベッドで目を覚ました。よくあるパターンだとトイレに行きたくて目が覚めるとかあるけど別にトイレに行きたいわけじゃない。今は本当にたまたま目が覚めただけなのだ。
「お、おはようございます......」
僕の部屋の中に人影が見えた。月明かりに照らされてその声の人物の姿がはっきりと見えた。全身濃紺の服を纏い肌が見える部分と言えば目元くらい......そうその人物は忍装束を身に纏っていたのだ。
「おはようござい......いやいやちょっと待って......」
「どうかしたッスか?」
「忍者っておかしいでしょ! 世界観くらい守ってくれよ!」
「えぇ!? 最初に突っ込むとこそこッスか? ほら他に突っ込むとこないッスか? 『き、貴様どうやってこの部屋に入ってきたんだ』とかあるッスよね?」
不法侵入忍者さんは僕の言葉に驚いたせいか自分で突っ込みの案まで出してくれた。
よく考えてみれば日本食とかあったわけだし忍者がいてもおかしくはないのかもしれない。
「はっ......殺気!?」
不法侵入忍者さんは大きく後ろに飛び退く同時に少し開いた部屋の入口からナイフが飛んで来て床に刺さった。
「てめぇ......姫様の部屋に侵入するとかいい度胸してるじゃねぇか......」
今回はいきなり怖い方のマーラさんモードだ。
「何かやばそうなんで一旦引かせてもらうッス!」
不法侵入忍者さんはそう言うと両手で印を結ぶと煙のように姿が消えてしまった。
えっ......消えた!? もしかして本物の忍者!?
「チッ......逃がしたか......ひ、姫様......だ、大丈夫でしたか」
マーラがしゃべりながら怖いモードからおどおどモードに切り替わったようだ。何とも実に分かりやすい変化だね。
「うん。大丈夫だったよ。ありがとう、マーラ」
「ひ、姫様が! わ、私のようなゴミのような人間に! お、お礼を言ってくださるなんて!!」
マーラはそのまま床にうつ伏せで倒れ込んだ。
マーラにはせめて多少は僕に慣れて欲しいんだけど......まともに会話すらできないじゃないか。
「姫様、マーラは私が部屋の外に連れて行きますのでどうぞお休みください」
メイド長も音もなく部屋に入ってきたんだけど......ま、いつものことか。
「ありがとう、メイド長。そうさせてもらうよ」
僕は日も昇っていないので2度寝をすることにした。
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