第137話 もしかしてポンコツですか?
「シャーリー様! それはずるくないですか!? ずるくないですか!?」
ミランダがシャーリーの服を掴んで引っ張っていた。
「ちょっと!! 服引っ張るのはやめてくれないかしら? ......そもそもいやらしいこと考えてるミランダが悪いんでしょ!」
シャーリーがミランダの手を引き剥がそうとしていた。
しかし、この状況......領主とはいえ一国の姫に対してこんなことして大丈夫なんだろうか......? まあ仲の良さそうな2人だし問題ないのかもね。
「あ、あの......メ、メイド長......か、買い物終わりました」
振りかえると両手にカゴを持ったマーラがメイド長の横に立っていた。
「ご苦労様です。では私が調理を行いますのでマーラは姫様のそばにいてください。ミランダ様、台所をお借りしますがよろしいですか?」
「あ、はい。どうぞ」
ミランダはメイド長の質問にシャーリーの服を引っ張りながら答えた。その答えを聞いてメイド長は一礼をして台所に向かった。
......というかいい加減諦めて放してあげたらどうかなと思うけど。そうだ! いい手があるぞ!
「あの......ミランダさん、お茶を用意してくれたんですよね?」
「そうでしたね。失礼しました......今お茶を入れます」
ミランダは立ちあがり乱れた服のしわを手でのばした。先ほどの様子までとはまるで別人で最初に会ったときのように凛々しい姿でお茶を入れ始めた。
うん......ミランダさんは先ほどの情けない姿よりも今の姿のほうがいいと思う。領主っぽいし。
「アイネちゃん、パジャマパーティーはそうね......1週間後とかでどうかしら?」
「メイド長......は料理中か。マーラ、予定空いてるかな?」
僕は振り向いてマーラに尋ねた。
「ひ、姫様が! わ、私のようなゴミのような人間に! し、質問してくださるなんて!!」
マーラがまたもや床でうつ伏せになってしまった。
......もしかしてマーラは僕の前だとアスカ以上にポンコツなのかもしれない。
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