第133話 説明をさせてください①

 刺青の男たちが去った後ミランダは頭から血を出した女性の手当てをしてベッドに寝かせた。一応、僕も手伝った......まあほとんどメイド長やマーラ任せだったけど。

「これでよしと!」

 ミランダは立ちあがって包帯などを片付けようとしたところでお腹から「ぐぅ~」と音が鳴った。

「失礼しました! アイネ様。見苦しいところをお見せして申し訳ありません」

 ミランダは深々とお辞儀をした。

「メイド長、そろそろお昼の時間だし何か用意してもらえないかな?」

「そんな! 悪いですよ! ボクが作りますよ!」

 ミランダは両手を振って僕の提案を断ろうとした。

「ダメよ! ミランダの料理は殺人的なまずさでしょ? そっちのほうが悪いんじゃないかしら?」

 後ろを振り向くとシャーリーさんが僕たちがいる部屋に来ていていたずらっぽい笑みを浮かべていた。。

「うっ......シャーリー様ひどい......でも反論できないです。すみません......やっぱりお願いできますか?」

 ミランダはうなだれながら僕にお願いした。

「分りました。馬車に食材がありますので何か作りましょう。ただ、足りない食材や調味料もありますね。マーラ、買い物をお願いできますか?」

 メイド長はマーラにメモを渡した。

「わ、分りました......す、すぐに......か、買ってきます」

 マーラはメモを持って市場のほうに買い物に出かけた。

「お茶入れてきますのでさっきの客間のほうでお待ちいただけますか?」

 ミランダがそう言うと2人とも部屋から出て行った。

 僕も客間に戻ろうか......

 部屋から出ようとしたときメイド長に呼び止められる。

「姫様、少々私の話しを聞いていただけませんか? マーラのことについて誤解いただかないよう説明をさせていただけませんか?」

「うん。いいけど」

 刺青の男たちとのやり取りだけ聞くとマーラも危なそうな人に見えるもんね。

「ありがとうございます。マーラは記憶をなくす前の姫様に命を救われました。そして、マーラは姫様に恩返しがしたくて、姫様を狙う不届きな者たちを血祭りにあげていたのです」

 これはまたずいぶんと過激な恩返しだね......

「マーラのもとになぜか強者たちが集まってマーラはある日から組織のボスになり、裏社会でマーラのことを知らぬ人はいないほどの存在になったのです。そしてマーラは思ったのです......『あれ? 私がしたいことってなんだったっけ?』と」

 うん......どう転んだらそうなるんだろうね。

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